ソーラーパネル付きEVが1回の充電で1000kmを11時間52分で走行
学生チームは、ギネス世界記録の組織が提示したいくつかの条件を達成しなければいけませんでした。
例えば、「一度に15分以上停止してはならない」というもの。トラブル対処やタイヤ交換に多くの時間がかかってしまうと、その時点で失格になるのです。
また、記録樹立のための制限時間は12時間と定められました。
チームが記録を残すためには、何としても12時間以内に1000kmを走破しなければいけないのです。
そのためにも、彼らが開発してきたソーラーEV「Sunswift 7」は、速度と効率に特化しています。
軽量化のために、エアコン、エアバッグ、フロントガラスワイパーなど、量産車に見られる多くの機能を排除し、全体重量を500kgに抑えました。
これはテスラ社EVの4分の1の重量です。
またモーターやドライブチェーンなどを調整し、全体の抵抗も極限まで低くしました。
その結果、本番でSunswift 7は「1回の充電で1000kmを11時間52.08分で走破する」というソーラーEVのギネス世界記録を樹立することに成功しました。
この記録は、Sunswift 7が85km/hの平均速度を出していたことを意味します。
また記録を達成する上で、多くのドラマも生まれました。
例えば、Sunswift 7はドライバーの交代、タイヤのパンク修理のために何度か停止しなければいけませんでした。
システムの修理が必要になった時には、再び動き出すまで14分52秒かかるという「ギリギリの戦い」も生じたようです。
それでも最後には、無事、記録の樹立に成功。
この間のエネルギー消費率はわずか3.8kWh/100kmでした。
現在、路上で最も効率的なEVが15 kWh/100 km、平均的なEVが20 kWh/100 kmであることを考えると、驚異の数値だと言えます。
もちろん、快適性を犠牲にしたSunswift 7がそのまま量産車になるわけではありません。
しかし、今回のチャレンジで生まれた技術やノウハウは、今後のEV開発に貢献するはずです。
これを学生チームが成し遂げたという事実も評価に値します。
きっと今後も、EVの新たなギネス世界記録が生まれたり、更新されたりするでしょう。
それらすべてが、世界中の人々が望む「快適で燃費が良く、財布と環境にもやさしいEV」に繋がっていくはずです。