クリスマスの植物、ヤドリギって?
クリスマスの植物といえば何を思い浮かべますか。クリスマスツリーから、筆頭に上がるのはモミの木でしょう。
それとも、クリスマスカラーで赤い葉が鮮やかなポインセチアでしょうか? 今の時期だと、花屋さんで大量の鉢植えが並んでいますよね。
大きめの花屋さんだと、同様にクリスマスの植物として売られているのがヤドリギです。
ヤドリギは、漢字で書くと「宿り木」という名のとおり、樹木に寄生して養分や水分をもらいつつ、自分で光合成も行う半寄生の常緑の植物。冬季でも緑の葉をつけていることで、古代では神聖なパワーがあると考えられていました。
日本だとそんなでもないですが、ヨーロッパのクリスマスでは非常にポピュラーな植物なんですよ。
ヨーロッパのクリスマスとヤドリギの風習
日本では、水にそのまま生ける切り枝やリースに加工されて売っていますが、欧米では、クリスマスから新年にかけてヤドリギを束にして玄関にぶら下げる風習があります。
玄関に飾るなんて、日本のお正月のしめ縄飾りみたいですよね。
イギリスでは、「クリスマスにヤドリギの下でのキス」にまつわる古くからの言い伝えがたくさんあります。「ヤドリギの下でキスをしたカップルは幸せになれる」「ヤドリギの下にいる女性(人)は誰のキスも拒否できない」など。
イギリスが舞台の『ハリーポッター』でも、ヤドリギは複数のシーンで登場します。そのひとつ、ハリーと初恋の人、チョウ・チャンのキスシーンはヤドリギの下でした。チャンは二股状態というか、ハリーとキスをするまでの関係か? という状況でしたが、風習から断る方が野暮ということで…。
ヤドリギの風習の起源はいつ?
この風習の起源は、なんとクリスマス前までさかのぼります。一説では、古代ギリシャにおいてヤドリギは豊穣を意味し、異教徒のサトゥナリアをたたえる祭に由来するというものです。
また北欧神話が起源という説もあります。神々のなかでもっとも美しく愛されたバルドルという神が悪夢を見るようになり、心配した母フリッグがすべての生物や無生物にバルドルを傷つけないよう約束させます。
しかし、ヤドリギだけは小さくて目立たない植物なので、見落とされてしまいました。
何を投げつけても無事だし、ということで神々は(やめときゃいいのに調子に乗って)バルドルにいろいろな物を投げつけて祝い、物が飛び散るのを笑います。
そこで、ロキという神がバルドルの兄弟で盲目の神、ホドルをだましてヤドリギで作った矢を投げさせます。
バルドルは死んでしまい、ヤドリギの下を通るものはバルドルをしのんでキスをするという取り決めができたのだとか。
ちなみに、ロキは北欧神話でいたずら好きの神様として知られ、登場頻度が高いです。
そのイメージから、木星の4大衛星、ガリレオ衛星として有名なイオの火山のひとつに、その名がつけられています。