営巣地を大量発見!見えてきた恐竜の「親子関係」とは?
ティタノサウルスは、恐竜時代の最期である白亜紀後期に生息した竜脚類のグループです。
南極大陸を除くすべての大陸で化石が見つかっており、約40種が記載されていますが、特にインド亜大陸で最も繁栄していました。
竜脚類の最後の生き残りであり、約6600万年前の隕石衝突により他の恐竜たちと共に姿を消しています。
研究チームは今回、インド中央部マディヤ・プラデーシュ州にある「ラメタ累層(Lameta Formation)」という白亜紀後期の地層にて、2017年、2018年、2020年に発掘調査を行いました。
その結果、合計でティタノサウルスの営巣地92カ所と卵の化石256個が発見されています。
卵の分析から、6種類のティタノサウルスが確認されましたが、この数は過去に同地で確認されている種数より多く、インド亜大陸ではティタノサウルスが予想以上に繁栄していたと考えられます。
延べ92カ所の営巣地の範囲は東西約1000キロにわたっており、知られている限り、史上最大級の恐竜の繁殖スポットとなっています。
ただし、同じエリアに作られた幾つかの巣は互いに密集していたことから、ティタノサウルスたちはコロニー型の集団繁殖をしていたことが示されました。
ペンギンもコロニーを形成し集団で繁殖活動を行いますが、ティラノサウルスのような恐竜たちもそれに近い行動が見られたのかもしれません。
加えて、巣の間に巨体を誇るティタノサウルスが入り込む程のスペースはなく、親たちは卵を温めたり、孵化の様子を見に来ることはなかったようです。
研究チームのグントゥパリ・プラサド(Guntupalli Prasad)氏は「もし親が巣を頻繁に訪れていたなら、卵を踏みつけたり割ったりして、子どもたちは安全に孵化できなかったでしょう」と話します。
また、それぞれの営巣地にはヒナの骨がほとんど見当たらなかったことから、子どもたちは孵化後すぐに巣を離れたと考えられます。
ティタノサウルスの親子関係はわりとドライだったのかもしれません。
続いて、一つ一つの巣を見てみます。
調査の結果、各巣ごとに直径15〜17センチの卵が1〜20個あり、浅い穴を掘って産卵されていたことが分かりました。
さらに、卵が埋まっていた岩石の種類から、巣の幾つかは湖か池のほとりに作られていたことが判明しました。
おそらくティタノサウルスは卵の乾燥を防ぐために、水辺に近い場所に産卵していたようです。
これは現在のワニと同じような環境で暮らしていたことを示します。
しかし、水辺の卵は水中に沈むことも多かったらしく、堆積物に埋もれて孵化していませんでした。
そのため、水辺で見つかった卵は未孵化のきれいな化石が多く、水辺から少し離れた巣の卵はちゃんと孵化したことを示す殻の断片として見つかっています。
以上の研究から、
・ティタノサウルスは巣を密集させて集団繁殖すること
・浅い穴を掘って産卵すること
・乾燥から守るために水辺に近い場所に産卵すること
・親は卵の世話をしないこと
・ヒナは孵化後すぐに巣を旅立つこと
などが明らかになりました。
絶滅した恐竜の繁殖習性を知ることはとても難しいため、今回の成果は非常に重要な知見となるでしょう。
これまでの研究によると、オヴィラプトルやトロオドンといった鳥類型の獣脚類(肉食恐竜)は、現代の鳥類と同じように、卵を温めて世話したり、子育てをしていたことが分かっています。
しかし、巨体で小回りも効かない首長の竜脚類たちは、卵や子どもを傷つけないためにあえて放任主義に徹したのかもしれません。
https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/84817