従来の紙ストローはふやけてしまう
紙だけで作られるストローは、水分を吸ってすぐに使えなくなります。
そこで従来の紙ストローには、紙コップの仕様と同じく、ポリエチレン(PE)など非生分解性プラスチックのコーティングがなされていました。
当然、これらコーティングは完全に分解されず、マイクロプラスチックとして海に蓄積する恐れがあります。
「プラスチックを使わないために、プラスチックのコーティングを用いる」というのは、なんとも矛盾をはらんだ方法です。
そこで登場したのが、ポリブチレンサクシネート(PBS)などの生分解性プラスチックのコーティングです。
現在の紙ストローには、このPBSが採用されたものも存在しますが、コーティング能力が高くないため、完全な解決策にはなりえません。
紙への接着性が悪いため、どうしても不均一なコーティングになってしまい、そこから液体が侵入してしまうのです。
結局紙ストローは長持ちせず、ドリンクに浸した部分や口に咥えた部分からふやけてしまいます。
また露出した紙のザラザラな表面によって、炭酸飲料を飲むと泡立つというデメリットもあります。
ちなみに、紙ストローの代替品には、トウモロコシなどから得られるポリ乳酸を原料にした「PLAストロー」も存在します。
こちらは生分解性プラスチックであるものの、海洋生分解性プラスチック(海洋流出後も生分解性を有するプラスチック)ではないことが実験で確認されています。
では、「生分解性100%のふやけない紙ストロー」は存在しないのでしょうか?
オ・ドヨンプ氏ら研究チームは、人々の需要を満たした新しい紙ストローの開発に成功しました。