AIの内部を覗き見る
「文章から画像を作ってくれるAI」はその利便性から急速に発展しています。
しかし新しい分野であることから、内部で何が起きているかは他のタイプのAIに比べて理解が進んでいません。
そこで研究者たちは今回「生物学的な観点」からAIの内部の解明に挑みました。
つまり文章から画像を作るAIの内部にも、人間の脳の後頭葉のように視覚情報を処理する過程と、側頭葉のように意味情報を処理する過程があると考えたのです。
調査にあたっては「AIの脳活動」において画像が生成されていく過程を3段階にわけて、それぞれの段階の画像が視覚情報と意味情報のどちらの影響をより強く受けて形成されているかが調べられました。
結果、初期段階においては視覚的な情報が優勢であり、段階が進むにつれて意味情報が優勢になっていきました。
この結果から研究者たちは、AIにも人間の脳のような、特定の情報を専門に扱う過程が存在すると結論しました。
AIに対して生物学的観点から定量的な解釈が行われたのは今回の研究がはじめてとなります。
もちろんAIと人間の脳機能の比較について反論する声はあるでしょう。
ですが人間の神経回路を模倣する機能を持ったAIに、人間の脳機能に似た処理プロセスが存在する可能性はあるはずです。
今後AIの中身を覗き見る研究が進めば、AIと人間の脳の意外な類似点が発見されるかもしれません。
そうなればいつか、人間の脳が作り出す意識の仕組みにも迫ることができるでしょう。