二重スリット実験を物理的スリットではなく「時間の切れ目」で再現成功!
二重スリット実験を物理的スリットではなく「時間の切れ目」で再現成功! / Credit:Canva . ナゾロジー編集部
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二重スリット実験を物理的スリットではなく「時間の切れ目」で再現成功! (2/2)

2023.04.14 Friday

前ページスリットは時間軸上に存在していてもかまわない

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スリットを「10億分の1秒の間」だけ生成する特殊素材

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Credit:An optical double-slit experiment in time

時間的スリット作成において最大の問題となっていたのはの速さでした。

光の速度に見合うような極めて狭い間隔で開閉できる時間的スリットを作り出すことは至難の業です。

そこで研究者たちが着目したのは、携帯電話の画面などに使われているインジウム錫酸化物(ITO)でした。

インジウム錫酸化物(ITO)にはスイッチとなる光(ポンプパルス)に反応して透明状態から反射状態に変化することは以前から知られていましたが、研究者たちはこの変化が予想よりも遥かに早く、10フェトム秒(10億分の1秒)未満で起こることを発見しました。

この性質を利用すれば、一瞬だけ通行可能になる「時間的スリット」を作ることが可能になります。

準備が整うと研究者たちは2つの時間的スリット作成し、その隙に光を通過させて相互作用を観察しました。

なお実際には上の図のように、インジウム錫酸化物(ITO)の下に金の板を配置して反射した光のスペクトルを観測しています。

結果、時間的スリットを通り抜けた前後の光は相互作用を起こしており、周波数スペクトルに干渉パターンが発生していることが明らかになりました。

時間的スリットを先に通過した光と後から通過した光は時間的な差のせいで波の位相もズレを起こしており、相互作用を起こすと波の加算と相殺を起こして、周波数スペクトルに干渉パターンが発生したのです。

研究者たちは今回の研究成果を応用することで、光を空間と時間の両方を用いて操作することができれば、次世代の光通信や電子の代りに光を用いる光コンピューターの発展に役立つ可能性があると述べています。

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