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超大質量ブラックホールが星を生む飛行機雲を作る
今回の超大質量ブラックホールは2022年9月に観測されました。
研究チームが、ハッブル宇宙望遠鏡で地球から約75億光年の距離にある矮小銀河「RCP28」の球状星団を探している時、たまたまブラックホールから延びる「光の筋」を発見したのです。
当初チームは、この光の筋を宇宙線によって生じた「画像内のノイズ」だと考えました。
ところがノイズの除去作業を行っても「光の筋」が残っていたため、この筋を本格的に分析することにしました。
そして追加調査の結果、この光の筋は地球から約76億7000万光年の位置にあり長さは20万光年以上もあるとわかりました。
この長さは天の川の幅の約2倍にあたります。
さらにこの光の筋の先端には超大質量ブラックホール(太陽2000万個分の質量)があり、高速度で移動していることも判明しました。
NASAによるとこのブラックホールは「地球から月までの距離を約14分で移動するのに十分な速さ」で移動しているという。
さらにドックム氏は、ハワイのケック望遠鏡を使って、この軌跡がある銀河と繋がっていることを発見しました。
つまりこの光の筋は高速で所属銀河から遠ざかる超大質量ブラックホールが作った飛行機雲のような軌跡だったのです。
通常銀河の中心には超大質量ブラックホールが存在します。しかし、そんな巨大なブラックホールが銀河から飛び出して移動するというのはどういうことなのでしょうか?