銀河から放り出された超大質量ブラックホールが星を作りながら高速移動している
銀河から放り出された超大質量ブラックホールが星を作りながら高速移動している / Credit:NASA, ESA, Leah Hustak (STScI)_Hubble Sees Possible Runaway Black Hole Creating a Trail of Stars(2023)
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「星の飛行機雲」星を生みながら輝く軌跡を描いて高速移動する超大質量ブラックホール! (2/3)

2023.04.14 Friday

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3つのブラックホールが接近した結果、そのうち1つが飛び出した説

銀河を追い出されたブラックホールについて、研究チームが考える仮説は次の通りです。

この領域では約5000万年前、超大質量ブラックホールを抱える2つの銀河が衝突しました。

これにより2つのブラックホールは銀河中心部でブラックホール連を形成することになりました。

こうしたブラックホール連星は互いの重力に引かれ合って、いずれ合体すると考えられています。

ところが、この領域にはその後、さらに3つ目の銀河が出現し衝突したのです。

こうして衝突銀河内部には3つの超大質量ブラックホールが存在することになったのです。

「3つのブラックホールが接近した結果、1つのブラックホールが大きく放り出された」という仮説
「3つのブラックホールが接近した結果、1つのブラックホールが大きく放り出された」という仮説 / Credit:Pieter van Dokkum(Yale University)et al., Astrophysical Journal Letters(2023)

通常2つのブラックホール連星なら、お互いの重力で引き合って近づいていくことになります。しかし超大質量ブラックホールの3重連星では、均衡が崩れ非常に不安定な状態になります。

ドックム氏は「3つの同質量の天体が重力的に相互作用する時、その作用は安定せず、通常は3つの内のいずれかが弾き飛ばされることになる」と述べています。

その言葉通り、3つの超大質量ブラックホールは三重連星として安定したり合体したりするのではなく、2対1に分かれました

そして孤立した1つのブラックホールと連星ブラックホールが互いに弾かれ、ビリヤードのように銀河から飛び出してしまったのです

弾かれた孤立したブラックホールが新たに衝突した3番目の銀河のものか、最初に衝突して連星となっていたブラックホールの片割れなのかは、現在のところわからないようです。

研究チームによると、そのどちらの可能性もあるとのこと。

現在、このシナリオが証明されたわけではありませんが、現在この領域に残された銀河の中心にはブラックホール存在しておらず、この点は仮説と一致しています。

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