3つのブラックホールが接近した結果、そのうち1つが飛び出した説
銀河を追い出されたブラックホールについて、研究チームが考える仮説は次の通りです。
この領域では約5000万年前、超大質量ブラックホールを抱える2つの銀河が衝突しました。
これにより2つのブラックホールは銀河中心部でブラックホール連星を形成することになりました。
こうしたブラックホール連星は互いの重力に引かれ合って、いずれ合体すると考えられています。
ところが、この領域にはその後、さらに3つ目の銀河が出現し衝突したのです。
こうして衝突銀河内部には3つの超大質量ブラックホールが存在することになったのです。
通常2つのブラックホール連星なら、お互いの重力で引き合って近づいていくことになります。しかし超大質量ブラックホールの3重連星では、均衡が崩れ非常に不安定な状態になります。
ドックム氏は「3つの同質量の天体が重力的に相互作用する時、その作用は安定せず、通常は3つの内のいずれかが弾き飛ばされることになる」と述べています。
その言葉通り、3つの超大質量ブラックホールは三重連星として安定したり合体したりするのではなく、2対1に分かれました。
そして孤立した1つのブラックホールと連星ブラックホールが互いに弾かれ、ビリヤードのように銀河から飛び出してしまったのです。
弾かれた孤立したブラックホールが新たに衝突した3番目の銀河のものか、最初に衝突して連星となっていたブラックホールの片割れなのかは、現在のところわからないようです。
研究チームによると、そのどちらの可能性もあるとのこと。
現在、このシナリオが証明されたわけではありませんが、現在この領域に残された銀河の中心にはブラックホール存在しておらず、この点は仮説と一致しています。