「非糖質系甘味料の長期的な使用」に減量の効果はない
WHOは、成人でも子供でも、砂糖を非糖質系甘味料に置き換えることは、長期的な体重や体脂肪のコントロールに役立たないと述べています。
なぜなら、非糖質系甘味料と減量に関する様々な研究を分析した結果、3カ月以内の実験では被験者の体重が減る傾向にありましたが、6~18カ月続く長期的な実験では、体重や体脂肪の減少との関連性が見られなかったからです。
WHOの栄養・食品安全担当局長のフランツチェスコ・ブランカ氏は、「砂糖を非糖質系甘味料に置き換えても、長期的な体重管理には役に立ちません。健康を改善させるためには、人生の早い段階から甘味を断ち切るしかないでしょう」と述べています。
非糖質系甘味料が体重を増加させてしてしまう具体的なメカニズムは明らかにされていませんが、非糖質系甘味料の摂取が食欲を増進させ、結果的に食事量が増える可能性も指摘されています。
さらに長期的な非糖質系甘味料の使用は、成人の2型糖尿病や心血管疾患、死亡率の増加と関連している恐れがあることも分かりました。
非糖質系甘味料を長期的に摂取した人は、2型糖尿病の発症リスクが23~34%増加し、脳卒中などの心血管疾患の発症リスクが32%も増加していたのです。
このことから、「非糖質系甘味料はゼロカロリーだから健康に良く、いくら摂取しても問題ない」と考えるべきではないことが分かります。
ただし今回のWHOの勧告は、糖尿病を患っている人には適用されません。
何かと注目されることの多い人工甘味料ですが、今後も人体への長期的な影響を考慮する必要があるでしょう。
例えば、2022年12月のフロリダ州立大学(Florida State University)の研究では、人工甘味料アスパルテームを投与し続けたマウスの脳の一部(恐怖や不安の調節に関与する偏桃体)が変化し、実際に不安様行動を起こすと分かりました。
しかもこの影響が、マウス子孫の最大2世代にわたって及ぶ可能性があるとも報告されています。
非糖質系甘味料の人間に対する長期的な影響は、未だに理解されていない部分が多くあります。
もちろん、「非糖質系甘味料を一切避ける」といった極端な行動を即座に取る必要はないでしょう。
それでもWHOのガイドラインの勧告どおり、現状では「健康を促進するものではない」との見方が優勢なので、自分なりに「非糖質系甘味料との適度な距離」を保つのが良いのかもしれません。