老化によってタコの体が壊れ始めた可能性も
本研究には参加していないサンフランシスコ州立大学(SFSU)の神経生物学者であるロビン・クルック(Robyn Crook)氏は「動画内の行動は確かに興味深いが、夢以外の何かによって刺激された可能性が高い」と指摘します。
その具体的な要因として挙げるのが「老化」です。
クルック氏は最近、ミズダコ (Enteroctopus dofleini)を対象とした研究で、老化が進むと体の神経系が劣化することを発見していました。
氏いわく「映像内の動きは、捕食者に対抗するための防御行動というよりも老化に関連した運動制御の欠損に見える」と話します。
つまり、コステロの異常行動は死を直前にして、体が壊れ始めていることのサインであるというのです。
ラモス氏もこの指摘には完全に否定的ではありません。
彼によると、コステロの属する種は寿命が約12カ月から18カ月で、実際にコステロはその年齢に達しており、今回の記録調査が終わった後に亡くなったと述べています。
「老化がこの異常行動の原因のひとつである可能性は排除できません」とラモス氏は話しました。
また今回の行動はコステロ1匹のみに確認されたものであって、他のタコも同様の反応を示すかどうかは分かりません。
研究チームは今後、複数のタコを対象としつつ、コステロの行動が悪夢であったのか、老化のサインであったのかを調べていく予定です。