アリは何を決め手に「丘を建てる」のか?
アリの巣では、食料調達に出かける者とコロニーに留まる者とで労働が分担されています。
採餌に行くのはたいてい年配のベテラン勢で、若いアリたちは主に巣内での仕事や巣作りを担当します。
そのため、研究主任のマルクス・クナーデン(Markus Knaden)氏は「両者の間では、再建を進めるための何らかの情報交換が交わされているはずだ」と指摘しました。
というのも、巣作りを担当するアリたちは外界を知らず、小高い丘がない場合に巣を見つけることの難しさを経験していないからです。
となると、ベテラン勢が「巣がなくなったら直ちに再建せよ」と教えている可能性がありますが、その具体的なやり取りについては解明されていません。
一つの可能性としてクナーデン氏は「巣にいるアリたちが、帰宅する採餌者の数が少ないことに気づき、その原因が丘の消失にあることを突き止めて、再建設を活発化させるのかもしれない」と述べています。
これと別に研究者は、小高い丘を建てることのデメリットについても疑問を抱いています。
その代表は天敵に巣の場所が特定されやすくなることです。
せっかく殺風景な景観なのに小高い丘を建ててしまうと、天敵に自分たちの居場所を知らせているようなものでしょう。
そもそも資源の少ない塩田にはあまり天敵がやって来ないのかもしれませんが、研究チームはこれらの点を含めて、砂漠アリの巣の調査を続けていきたいと話しています。