オナニーの進化的起源は4000万年前で生物学的な利点があったと判明
あまり知られていませんが、自慰行為は動物全般に幅広くみられる現象です。
これまで自慰行為が確認できた動物には、人間やサルに加えてイヌ・ネコ・ウマ・リス・鳥・カメ・ゾウ・イルカなど、数えきれない種が含まれており、今後その数は増加すると考えられています。
しかし自慰は長らく精神病や性的興奮の副産物に過ぎないと考えられており、生物が「いつから自慰をはじめたのか?」また「なぜ行うのか?」といった進化的、生物学的な理解は進んでいませんでした。
(※現在でも自慰に目的はなく単なる快楽のためと主張する人は数多く存在しています)
そこで今回、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンの研究者たちは人間の自慰行為の進化的、生物学的な意味を探る、新たな研究を行うことにしました。
霊長類の自慰の起源は少なくとも4000万年前に遡れる
調査にあたっては、霊長類の自慰について説明されている264件の学術論文と150件のアンケート、そして霊長類学者や動物園の飼育員など霊長類に接している人々からの聞き取りなど合計400の情報源が集められました。
研究者たちはそれら情報を照合します。
最初に行われたのは「どの霊長類が自慰をし、どの霊長類がしないか」といった分類をもとにした、自慰の起源でした。
この方法は手足の起源や目の起源の探索に使われているのと同じ方法です。
共通の祖先を持つA種とB種の両方に共通する特徴(目や手)がみられる場合、両種の共通の祖先も同じ特徴を持っていたと考えられるからです。
「手足」について同様の手法を用いた研究では、脊椎動物の手足の起源が3億8500万年前に陸上に進出しはじめた両生類であり、さらに祖先を辿ると魚類のヒレに行きつくことが示されています。
研究者たちが同様の手法で霊長類の自慰の起源を調べたところ、少なくとも4000万年前に存在した全てのサルと類人猿の祖先も自慰をしていた可能性があることが判明します。
この時期は、サルと類人猿の先祖が虫を主食にするメガネザルなどの原始的なサルと枝分かれした頃と一致します。
人類に受け継がれた自慰が4000万年もの歴史を持つというという結果は大きな驚きといえるでしょう。
しかしそうなると気になるのが、その理由です。
なぜ人類へとつながる霊長類の祖先たちは、4000万年にもわたり自慰行為の習慣を維持しつづけてきたのでしょうか?