2002年「スペースシャトル・アトランティス」の船内で作業中のパメラ・メルロイ宇宙飛行士
2002年「スペースシャトル・アトランティス」の船内で作業中のパメラ・メルロイ宇宙飛行士 / Credit: commons.wikimedia
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NASAが宇宙空間で「鉛筆」を使おうとしなかった理由とは? (2/2)

2023.07.02 Sunday

前ページなぜ宇宙空間で「鉛筆」を使わなかったのか?

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宇宙で文字が書ける「フィッシャー・スペースペン」の凄さとは

フィッシャー・スペースペンは、内部に封入された窒素ガスの圧力によって、微小重力下でもインクがペン先へと安定して移動する仕組みになっています。

そのおかげで船内の宇宙飛行士がどんな体勢にあっても確実に字が書けるのです。

また特殊な粘着性の強いインクを使用しているため、乾燥することがなく100年以上の保管も可能とのこと。

加えて、水に濡れた紙にも油で汚れた紙にも字が書けます。

さらにマイナス34℃からプラス121℃の温度環境にも対応しており、まさに宇宙で字を書くには最適なボールペンです。

フィッシャー・スペースペン
フィッシャー・スペースペン / Credit: ja.wikipedia

その後、フィッシャー・スペースペンはNASAの厳しい検査をクリアし、正式に宇宙飛行士が使用するボールペンとして採用されました。

1968年のアポロ7号のミッションでデビューし、それ以降も宇宙船内での筆記にはすべてフィッシャー・スペースペンが使われています。

実はフィッシャー・スペースペンは私たち民間人も購入できますが、1本1万円以上するものが多いです。

お財布に余裕のある方は、こちらのPellePennaをご覧ください。

2023年現在はどうなっている?

フィッシャー・スペースペンは今も現役で活躍していますが、技術が発達した昨今では、宇宙飛行士にもより多くの選択肢があります。

例えば、木製ではなく機械式の鉛筆、つまり「シャーペン」を使っているクルーもいるそうです。

それでも黒鉛のゴミが出ることに変わりありませんが、今では技術の進歩により、船内に高性能の濾過システムが搭載されており、そこで潜在的に危険な粒子や破片を効率的に取り除くことができるという。

さらに現代人はわざわざペンで書かなくても文字を残す技術をすでに手にしていますね。

そう、タブレット端末です。

現在はマニュアルも船内作業の手順書もタブレット端末で見ることができ、宇宙飛行士たちはタブレットを使ってスケジュールや作業手順を確認しながら、日々の活動を行っているそうです。

実験の手順をタブレットで確認する星出彰彦(ほしで・あきひこ)宇宙飛行士
実験の手順をタブレットで確認する星出彰彦(ほしで・あきひこ)宇宙飛行士 / Credit: JAXA/NASA – 星出宇宙飛行士ウィークリーレポート Vol.10(7/5~7/11)(2021)

このように地球とは環境の異なる宇宙空間では、ペン一本にも慎重になる必要がありました。

ちょっとしたゴミによる機械の故障や誤作動のせいで、クルーたちの命が失われかねないからです。

地球のルールが通用しない宇宙において人類はあらゆる物に気を配らなければなりません。

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