なぜクシイモリは孵化しない卵を産むのか?
クシイモリの繁殖は非常に不合理です。
毎年、繁殖期が終わると、メスは数百個の卵を産み、そのひとつひとつを池の水草の葉にくくりつけ、安全に孵化する機会を増やします。
しかしメスの産んだ卵の半分は、決して孵化することはありません。
自然界の生存競争は激しく、同じ条件にある種ならば、より多くの卵を産んだものが子孫を残せます。
たとえばウミガメの場合、卵から大人になれる確率はわずか1000分の1くらいと言われています。(※過去には5000分の1や1万分の1とも言われていました)
クシイモリの持つ産んだ卵の半分が死ぬという特性は控えめに言っても極めて生存に不利であり、そのような不利な性質は通常、進化の過程で修正されます。
しかし、この奇妙な現象が最初に確認された1821年から現在に至るまでクシイモリが「無駄な卵」を相変わらず産み続けています。
多くの生物学者がこの不思議な現象に何らかのメリットを見出そうと多くの仮説を提唱しましたが、どの仮説もデメリットを補うメリットを見つけられませんでした。
ただ、なぜ半分の卵が死んでしまうのか、その死をもたらす仕組みは解明できています。