巨大で、明るく、冷たい奇妙な星
暗黒星とはどんな星なのか?
これまでの研究によれば、暗黒星は普通の星と同じようにほとんどが水素とヘリウムでできているものの、全体の0.1%ほどの暗黒物質を含む点で他の星とは大きく違っているとされています。
「0.1%しか暗黒物質が含まれないのでは、ほとんど普通の星なのではないか?」と思われるかもしれませんが、暗黒星において暗黒物質は莫大なエネルギーを産む対消滅反応を起こしており、わずかな割合でも核融合を完全に代替しています。
そのため星の内部では核融合が起こるほどの密度がなく、代わりに星全体にまんべんなく分布する暗黒物質の対消滅で熱が発生するという特徴があります。
そのため暗黒星は10天文単位に広がる太陽の数百万倍もの質量を持つ、巨大なガスのふくらみとして形成され、表面温度は1万度以下と低くなっているものの、暗黒物質の対消滅による熱は水素雲に吸収されて、太陽の100億倍と非常に明るく輝きます。
つまり、妙に巨大で妙に明るく妙に冷たい水素とヘリウムでできた恒星が暗黒星の特徴というわけです。
そこで今回、コルゲート大学の研究者たちはジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が観測した初期宇宙のデータを分析し、暗黒星特有のパターンを持つ天体を探しました。
結果、驚くべきことに該当する3つの天体「JADES-GS-z13-0」・「JADES-GS-z12-0」・「JADES-GS-z11-0」が存在することが明らかになりました。
この3つはビッグバンから3億2000万から4億年後に作られた存在で、これまで通常とは異なる外れ値を持つ奇妙な銀河だと思われていましたが、暗黒星だった場合にみられる全ての条件をクリアしていました。
そのため研究者たちは、該当する条件を有する3つの天体は非常に奇妙な銀河か、暗黒星のどちらかであると結論しています。