非常に珍しいカンブリア紀のクラゲの化石
さて、今回見つかったクラゲは体長20センチ前後で、短い触手を90本ほど持つベルのような見た目をしていました。
科学的に未記載の新種であり、新たに「バージェソメドゥーサ・ファスミフォルミス(Burgessomedusa phasmiformis)」と命名されています。
触手があることから、本種は泳いで獲物をとらえる捕食性のクラゲで、カンブリア紀としてはかなり大物の捕食者だったと推測されています。
ROMの古生物学者であるジャン=ベルナール・キャロン(Jean-Bernard Caron)氏は「カンブリア紀の食物連鎖はこれまで考えられていた以上に複雑であり、捕食はアノマロカリスのような大型動物に限られなかったことを示唆している」と指摘しました。
また新種の存在は、典型的な釣り鐘型のボディを持つ遊泳性のクラゲが5億年以上前にはすでに進化していたことを示しているとチームは指摘します。
研究主任のジョー・モイシウク(Joe Moysiuk)氏は「クラゲとその近縁種は、最も初期に進化した動物群の一つと考えられていますが、カンブリア紀の化石記録からそれを特定するのは非常に困難でした」と説明。
その上で「今回の発見はクラゲが当時の海を泳ぎ回っていたことを疑問の余地なく証明している」と述べました。
現時点の学説によると、クラゲは今日見られる動物の「門」が突如として出そろった「カンブリア爆発」の中で誕生したとされています。
B. ファスミフォルミスの発見は、クラゲの進化の時系列をより正確に理解する上で新たな基準点を与えてくれるでしょう。