ゾウは「名前」で相手を呼んでいた⁈
ゾウはとても知能の高い動物であり、新しい音の発声学習ができる数少ない哺乳類の一種です。
彼らが発する最も一般的な鳴き声は超低周波(13〜35Hz)のランブル音で、近距離にいる仲間に話しかけるときと、2キロ以上離れた遠距離にいる仲間に呼びかけるときの両方で使われています。
こちらが実際のランブル音です。(低く唸るような音で、一部は人の耳にも聞こえない周波数に達するという)
今回の調査は、こうしたゾウの音声学習能力の理解を深める一環としてスタートしました。
研究チームは、アフリカ東部ケニアにある2つの地域「サンブル国立保護区(Samburu National Reserve)」と「アンボセリ国立公園(Amboseli National Park)」に暮らす野生のアフリカゾウからランブル音を採集し、仲間に対してどんな呼びかけをしているか分析しています。
最終的なデータセットには625件のコール(仲間への呼びかけ)が含まれており、うち597件は同じ社会的グループに属するメンバー間で起こっていました。
分析では、2頭の間でのみ生じたコール、つまり発信者と受信者を特定できるコールのみを対象とし、合計で発信者114頭、受信者119頭が観察されています。
そしてチームは個々のコールの音響特性(音声波形など)を元に、誰を呼んでいるか特定できるか分析を行いました。
その結果、コールの音響特性のみから、どのゾウに向けて呼びかけたか高い確率で判断できることが判明したのです。
研究者は「受信者の身元は、偶然よりも明らかに有意な確率で正しく識別できた」と論文内で述べています。
これは個々のゾウに特定のコール音(名前に相当するもの)が振り当てられている可能性を示唆するものです。
ただここで一つ、チームは明らかにしておかなければならないことがありました。
それはゾウが一部の知能が高い動物が採用している「声マネ」を行っているかどうかです。