ゾッとする医療器具の数々
黒ひげが乗っていた海賊船「アン女王の復讐号」は、1996年にノースカロライナ沖でトレジャーハンターによって発見され、今も考古学者たちが研究を続けています。
回収された数多くの遺物の中には、船医が負傷した海賊や病気の海賊たちに使用した、少しゾッとするような医療器具が含まれていました。
いくつかの医療器具を紹介したいと思います。
尿道注射器
上記画像の器具は、水銀を尿道に注入するための金属製の注射器です。
今の私たちからすると考えられないようなことですが、黒ひげの時代は、梅毒を治療するために尿道に水銀を注入していました。
水銀は、神経系の障害や腎臓の障害、歯の喪失などの重大な副作用をもたらし、その副作用によって命を失うこともあります。
しかし、20世紀にペニシリンが発見されるまでの間、水銀は梅毒の主要な治療方法として広く用いられていたのです。
浣腸器
この画像の器具は、「クライスター・ポンプ(clyster pump,)」と呼ばれる、直腸に液体を送り込むことで重度の脱水症状を治療するのに使われた浣腸器です。
新鮮な水が不足していた船上での生活では、脱水症状になる海賊たちが多かったのかもしれません。
瀉血器具
今回、画像はありませんが、アン女王の復讐号からは瀉血に使われた器具も見つかっています。
瀉血(しゃけつ)とは数百年前まで実際に行なわれていた、リストカットして悪い血を抜き取るという治療法です。
今でこそ嘘みたいなこの治療法ですが、当時は病気が良くなると本気で信じられていたのです。
もちろん根拠がない瀉血では病気が良くなることなどなく、リスクしかありません。
アメリカの初代大統領ジョージ・ワシントンは、瀉血のやりすぎで亡くなったと言われています。
他にも薬をすりつぶすための鋳造真鍮製の乳鉢と乳棒や、傷の縫合時などに使われたと思われる、銀製の針なども見つかっています。