耳の中をクモが元気に歩き回っていた!
台湾に住む64歳の匿名女性は、ある日、左耳にカチカチと音がする症状を訴え始めました。
耳の奥を絶え間なく叩くような感覚だったらしく、一晩中ガサゴソと音がするため、なかなか眠れなかったといいます。
女性はそのまま4日間放置したそうですが、異常音が止まないため、地元にある台南市立医院の耳鼻咽喉科を受診しました。
そして医師たちは彼女の左耳から驚くべき発見をすることになります。
なんと体長2.5ミリほどの小さなクモが、耳の穴と鼓膜をつなぐ通路である「外耳道」を元気に這い回っていたのです。
ちなみに人間の耳の構造は次のようになっています。
これを踏まえてここから先の情報を見ていきましょう。
実際の映像がこちら。
A woman with hypertension presented to the clinic with a 4-day history of abnormal sounds in her ear. On examination, a small spider was seen moving within the external auditory canal of the left ear. The molted exoskeleton of the spider was also present. https://t.co/dye2sbbiL9 pic.twitter.com/SfeNBBGQS8
— NEJM (@NEJM) October 25, 2023
外耳道とは一般的に耳の穴と呼ばれる部分です。そしてその突き当たりには鼓膜があります。
上の動画は女性の外耳道内を映しているもので、奥にある白い膜のような壁が鼓膜です。
小さな蜘蛛が二匹入り込んでいるように見えますが、これはクモが耳の中で脱皮していたためだといいます。
つまり動いていない方は、クモが成長して脱ぎ捨てた外骨格なのです。
おぞましいことに耳に入りこんだクモはスクスクと成長していて、鼓膜の目の前を元気に這い回っていたのです。
耳の中から虫が見つかる症例はたびたび報告されますが、これほど元気に歩き回るクモ(しかも脱皮付き)が発見される事例はありません。今回医学誌に報告されたのもその点が特殊だったためでしょう。
同院の耳鼻咽喉科長であるテンチン・ワン(Tengchin Wang)氏は「クモが非常に小さかったので女性に痛みの症状はなかった」と話します。
結局、医師チームはカニューレ(cannula)と呼ばれる医療用の細い管を使って、女性の耳からクモとその抜け殻を摘出することに成功しました。
その後、女性の耳には何の異常も見られず、4日間つづいた音からも無事に解放されています。
一方で、耳に虫が入る症例は私たちにとって身近な恐怖であり、決して他人事ではありません。
耳鼻科医によると、外耳道で見つかる異常物のうち、アリやガ、ゴキブリを含む虫の占める割合は全体の14〜18%に達するという。
専門家はこれについて「外耳道が暗くて暖かいため、小さな虫が過ごしやすい空間を提供しているせいかもしれない」と指摘します。
では万が一、虫が耳に入った場合はどう対処するべきで、また何をすべきではないのでしょうか?