感触は表面部分にしか存在せず中身は何も感じられない
超流動体はどんな感触なのか?
センサーからのデータを分析すると、驚きの結果がみえてきました。
コップの中にある冷たい水に指を突っ込んだ場合、指から水に向けて熱が流れ、水全体の温度が上がっていきます。
また指を動かすと水の三次元的な広がりを感じることができるでしょう。
しかし超流動体の場合は大きく異なっており、挿入されたセンサーと熱的機械的な相互作用が行われるのは、超流動体とセンサーが接触する部分に形成された、極めて薄い二次元的な層に限定されていたのです。
そのため冷たい超流動体に浸された指から熱が伝達されても、熱は超流動体の内部に浸透することはなく、指と超流動体の二次元的な接触面に沿って流れるだけとなります。
また観測データから、二次元的な膜は超流動体の内部とは独立した別の超流動体システムとして機能することがわかりました。
(※同じ超流動体ヘリウム3でありながら、指との接触面と内部で異なる特性を持つということです。)
研究者たちはこの結果について「この液体に指を突っ込むことができたとしても、あたか二次元のように感じられる」と述べています。
そして超流動体の内部は完全に受動的な領域で真空のように機能し、なにも存在しないかのように感じられることがわかりました。
加えて超流動体の性質により、浸している指の上に向けて超流動体が徐々に登ってくるのを感じることになります。
より簡単な言葉でまとめると、超流動体に指を突っ込んでも二次元の膜のように感じられ、指から離れた熱がまた指に戻り、二次元層が指の表面を這いあがってくるという奇妙な感覚を味わうことになります。
研究者たちはセンサー(指)と超流動体の二次元的な膜の関係を理解することで、粘度や熱伝導率など独自の特性を備えた新しい材料を開発できると述べています。