結晶の形は「温度と湿度」で決まる?
これまでの研究で、雪の結晶の形には、それらが作られるときの「温度」と「湿度」が大きく関係していることが分かっています。
特に温度は結晶の基本形(平面型:Platesか柱状型:Columnsか)に影響し、湿度は結晶の形や模様の複雑さに影響します。
下の図を見てみましょう。縦軸は湿度、横軸は温度を示します。
これを見ると、0℃から−5℃くらいまでなら平面型で、−5℃から−10℃までなら柱状型、そこから−20℃くらいまでは再び平面型となり、また湿度が低いほど形や模様はシンプルで、湿度が高いほど複雑になることが分かります。
湿度が低いと結晶の材料となる水蒸気の量が少ないので、成長スピードがゆっくりになり、形もシンプルなものとなります。
反対に、湿度が高い(水蒸気量が多い)と、結晶の成長スピードも速く、形も枝状や針状と複雑になりやすいのです。
雪の研究者として世界的に有名だった中谷 宇吉郎(1900〜1962)は、雪の結晶を指して「天から送られた手紙である」と表現しました。
というのも、空から降ってきた雪の結晶の形を調べれば、上空の温度や湿度を含む気象状況が分かったからです。
それを彼は「天からの手紙」という詩的な言葉として残しました。
史上最も大きな「雪の結晶」はどれくらい?
雪の結晶は一般に直径0.01mm〜数mm程度なので、虫眼鏡や顕微鏡を使ってやっと美しい結晶が見れるほど小さなものです。
結晶同士が寄り集まることで数cm大の雪の塊になることはありますが、単一の雪の結晶そのものはそこまで大きくなりません。
仮定として手のひらサイズまで成長したとしても、結晶はとても繊細なので、地上に落下する途中で分解したり、他の雪とぶつかって簡単に壊れてしまうでしょう。
では、現時点で最も大きな「雪の結晶」のギネス記録はどれくらいなのか?
それは米カリフォルニア工科大学(Caltech)の物理学者で雪の専門家でもあるケネス・リブレヒト(Kenneth Libbrecht)氏が2003年12月30日に記録した直径10mmの樹枝状結晶です(Guiness World Records:Largest snow crystal)。
その実際の写真がこちら。
約1センチですから肉眼でも確認できるサイズであり、リブレヒト氏は「このモンスターは私の知る限り、これまでに撮影された中で最大の雪の結晶です」と話しています。
1センチだと頑張って探せばありそうな気もしますが、雪の結晶は非常に繊細であり、ちょっと人肌に触れるだけでもすぐに溶けてしまいます。
このように綺麗な形を保ったまま撮影して記録に残すのは至難の業なのです。
これから日本各地でも雪の降るシーズンですが、雪の溶けにくい氷点下の場所であれば、記録を塗り替える巨大な結晶が見つかるかもしれません。