ネアンデルタール人のDNAを受け継いでいると「朝型人間」になりやすいと判明!
ネアンデルタール人のDNAを受け継いでいると「朝型人間」になりやすいと判明! / Credit: canva
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ネアンデルタール人のDNAを受け継いでいると「朝型人間」になりやすい

2023.12.22 Friday

「夜より朝の方が調子がいい」「早寝早起きも全く苦じゃない」という方。

もしかしたらネアンデルタール人の遺伝子を受け継いでいるかもしれません。

米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)の最新研究は、ネアンデルタール人の遺伝子が現代人の一部を「朝型人間」にしている可能性があると報告しました。

これはネアンデルタール人が「朝型」だったことを示しており、彼らが季節によって日照時間の変わりやすい高緯度地域に住んでいたことと関係していると見られます。

研究の詳細は、2023年12月14日付で科学雑誌『Genome Biology and Evolution』に掲載されました。

Neanderthals may have been morning people, says new study https://phys.org/news/2023-12-neanderthals-morning-people.html Neanderthals may have been early risers https://www.popsci.com/science/neanderthals-sleep-patterns/ Neanderthal DNA may explain why some of us are morning people https://www.theguardian.com/science/2023/dec/14/neanderthal-dna-may-explain-why-some-of-us-are-morning-people
Archaic Introgression Shaped Human Circadian Traits https://academic.oup.com/gbe/article/15/12/evad203/7457904

現代人の中で生きるネアンデルタール人のDNA

ホモ・サピエンス(現生人類)の誕生は約30万年前のアフリカに遡ります。

それから約7万年前にその一部がアフリカを出て、アジアやヨーロッパを含むユーラシア大陸へと移住し始めました。

アフリカから高緯度地域に移り住んだことで、現生人類は気候や日照時間など、今までとは大きく異なる季節変化に直面することとなります。

その一方で、ネアンデルタール人は現生人類よりずっと早く、40万年以上も前からヨーロッパに住んでいました。

彼らは約70万年前に現生人類の系統から分岐し、現代人の祖先とは異なる環境下で独自の進化を遂げていったのです。

その結果、ネアンデルタール人と現生人類は、それぞれの環境に適応した遺伝子の違いを獲得するに至りました。

現生人類は7万年前にユーラシア大陸に出る。ネアンデルタール人は40万年前から高緯度地域で進化していた
現生人類は7万年前にユーラシア大陸に出る。ネアンデルタール人は40万年前から高緯度地域で進化していた / Credit: John A Capra et al., Genome Biology and Evolution(2023)

そんな中、ヨーロッパにたどり着いた現生人類はネアンデルタール人と遭遇し、一部で交配が起こります。

これによって現生人類の内に、すでにヨーロッパの環境に適応していたネアンデルタール人の遺伝子が流入しました。

ただネアンデルタール遺伝子の多くは現生人類にとって有益ではなく、自然淘汰によって除去されてきたことが過去の研究で分かっています。

それでも現代人の全DNAの1〜4%はネアンデルタール人由来のものであり、毛髪や皮膚の色素沈着、脂肪組成、免疫抵抗性に影響を及ぼしています。

ネアンデルタール人自身は約4万年前に絶滅していますが、彼らのDNAは今も私たちの中で生きているのです。

ネアンデルタール遺伝子が「概日リズム」に影響?

そして研究者は以前から、ネアンデルタール人の遺伝子が現代人の「概日リズム」に影響を及ぼしているのではないかと予想していました。

概日リズムは一般に「体内時計」として知られ、気温や昼夜の明暗サイクルを含む環境変化の予測、特定の時刻に生理機能を最大化させるなど、私たちの健康にとって欠かせなシステムです。

他方で、この概日リズムは住んでいる地域の影響を受けると考えられます。

特にネアンデルタール人のいたヨーロッパ地域は、現生人類が進化してきた赤道付近のアフリカとは違い、一年を通して気候や日照時間が大きく変動します。

そこで研究チームは今回、ネアンデルタール人と現代人の概日リズムに違いがあるのか、またネアンデルタール由来の遺伝子が現代人の概日リズムに何らかの影響を与えているのかを調査しました。

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