新年に立てた目標はどれだけ維持されるのか
新年になると多くの人が目標を立て、達成しようと新たな行動を始めます。
何月に実施される試験に合格するであれば、その試験に受かるよう勉強する必要がありますが、健康維持やスキルの向上のため、毎日15分間運動する、週に2回英会話のレッスンを受けるなど習慣の形成を新年に決意することもあるはずです。
そのような新たな行動はどれくらい維持されるのでしょうか。
去年掲げた新年の目標を1年継続して実行している人の方が少ない気もします。
そもそも立てた目標自体を思い出せない人もいるでしょう。
新年に目標として決意した習慣の継続率を2年間に渡って追跡調査した、米スクラントン大学のジョン・ノルクロス氏(John Norcross)らの研究では、新年から1週間後には約77%、1カ月後には約55%、3カ月後には約43%、6カ月後には約40%、2年後には約19%が目標としていた行動を継続していることを報告しています。
この結果から新年に目標を立てても習慣として行動を維持できる人は半数以下になってしまうことが分かります。
しかし逆に新年に目標を立ててるとよほど無茶な習慣でない限り、20%以上の確率で継続することが期待できるとも言えるでしょう。
実際に同じくノルクロス氏の研究チームは、新年に目標を立てた人と立てなかった人を集め、新年から6カ月後に電話調査を行っています。
結果、目標を立てた人の約46%は目標を達成していたのに対し、目標を設定しなかった人は約4%しか目標を達成できていませんでした。
新年に目標を立てる重要性はわかったとして、どのようにすれば少しでも行動の継続率を高めることができるのでしょうか。
ストックホルム大学のマーティン・オスカーソン氏(Martin Oscarsson)らの研究チームは、新年の目標の立て方で行動の継続率がどのように変わるかを検討しています。
実験では、12月の最後の週にオンラインで募集した参加者1,062名を、以下の3つのグループに分け、新年の目標(たとえばお菓子を食べるのを控える)を立ててもらいました。
統制グループ:特に指示を受けない
社会的サポートグループ:立てた目標をサポートしてくれる可能性が高い人を考える
目標の立て方グループ:「何をしないか」ではなく「何をするか」と目標をを設定するよう促される
このように新年の目標を設定する際の実験者側からの助言の有無、内容に違いを設け、年明け後1年の行動の継続率を比較しました。