日本の誇る「しんかい6500」の後継機開発は頓挫してしまった
海洋プレートが沈み込む境界がずれることで発生した地震(海溝型地震)で現れた断層崖を海底で観察・記録した報告は、世界で初めてです。
日本は、千島海溝、日本海溝、伊豆―小笠原海溝、南海トラフ、琉球海溝といった5つの重要な海溝を抱える国であり、これらの地域では将来的に巨大地震や大規模な津波が発生するリスクが高いと予測されています。
このような状況において、海溝を含む超深海域の詳細な地形調査や現地潜航調査の重要性は日に日に高まっています。
今回の研究からも、海底の地形変化を直接的・視覚的に把握する重要性が示されています。
しかし先に述べたように、現在日本にはこのような調査を行うための「フルデプス仕様」の潜水艇が存在していません。
日本の深海探査技術の一環として計画された「しんかい12000」は水深1万2000mまでの潜航能力を持つ、野心的なプロジェクトでしたが、主に研究費の削減によって計画がとん挫してしまいました。
深海1万2000mという極限環境への潜航は、圧力耐性、通信技術、動力システムなど、さまざまな高度な技術革新を必要とし、これらの開発には莫大な投資が必要ですが、日本の科学研究予算は限られていたからです。
さらに、深海探査技術の迅速な進歩と国際協力の拡大も、しんかい12000の計画に影響を与えた可能性があります。
国際的な共同研究プロジェクトや他国の深海探査艇の利用により、日本独自の深海探査艇の必要性が相対的に低下したことも、プロジェクトの進展に影響を与えたと考えられます。
自主開発するよりも技術を借りた方が費用節約になるのは確かです。
日本が超深海探査の分野で先進的な立場を維持し、自国民の生命と財産を守るためにも、技術的な挑戦を乗り越え独自の深海探査艇の開発を進めることが重要となるでしょう。