お酒は恋愛を促進する
お酒を飲むと、アルコールが血液中を通り脳に到達します。
その結果、理性を司る大脳皮質の活動を低下し、本能や感情を司る大脳辺縁系活動が活発になります。
この状態がいわゆる「酔った状態」です。
その時には、怒りっぽくなったり、大声を出してしまうなど理性的な行動を取ることが難しくなります。
しかし理性による抑制がとれることで、円滑なコミュニケーションを促進し、相手と親密な関係を築くことに寄与する可能性も考えられます。
ではお酒を飲むことで恋愛を促進する効果もあるのでしょうか?
この問題を取り扱った研究では、お酒と恋愛の間には密接な関係があることを報告しています。
たとえば「Addictive Behaviors」に投稿された、ユトレヒト大学のルトガース・エンジェル氏(Rutger Engels)らの研究では、大学生を対象に、飲酒行動とパートナーの有無の関係性について調べました。
調査の結果、飲酒の頻度とアルコール摂取量が多いほど恋人ができやすいことが分かっています。
ただし家で飲酒をする頻度ではなく、居酒屋などのパブリックな場で飲む頻度が多いことが重要でした。
また恋愛関係に至る前には、飲酒行動を共にすることが多いことなども報告されています。
お酒が恋愛を促進する現象に関連する逸話は数多く存在します。
たとえば、居酒屋などでたまたま綺麗な女性と出会い、意気投合し、朝を迎えて、寝ている姿を見たら、昨日話していた人とは思えない見た目の女性でびっくりしたのような話です。
漫画のネタにはありそうですが、現実でもこのようなアルコールが入ることでイケメンでない人がイケメンに、あまり美人でない人が美人に見えてしまうことがあるのでしょうか。
実はこの現象を実際に調べた研究があります。
それは英グラスロー大学のバリー・ジョーンズ氏(Barry Jones)らの研究です。
彼らは大学の近くのバーにいた男女80名を捕まえ実験に参加してもらいました。
そのうちの半数は当日お酒を飲んでおらず、残りの半数は実験に参加する3時間以内に1-6 UK unitsのお酒を飲んでいました。
1 UK unitは10 mlあたり8 gの純粋なアルコールを含んでいることを意味します。
具体的にはアルコール度数3.6%のビール(約236 ml)、あるいはアルコール度数12%のワイン(100 ml)程度の飲酒量にあたります。
参加者はバーの一角で、PC上に提示される男女の顔画像を見て、その魅力度と示唆性(どれくらい特徴的か)の評価を行ってもらいました。
さて飲酒の有無で顔に対する評価にどのような違いが生じたのでしょうか。