他者評価による性格評価のほうが寿命予測の精度が高い
そこで米ワシントン大学のジョシュア・ジャックソン氏(Joshua Jackson)らの研究チームは、自己と他者どちらの評価による性格が寿命を予測する指標として優れているのかを調べています。
彼らは1935から1938年の3年をかけて参加者600名を集め、性格に関する質問紙に回答してもらいました。
また参加者のことを良く知っている人物3-8名(たとえば自分の結婚式に呼ぶつもりの友人)にも同様に質問紙に回答をしてもらっています。
そして2013年までの約75年間に渡って参加者を追跡し、亡くなった人に関しては死亡した日付を記録しました。
分析の結果、友人から誠実で、創造性が高いと評価された男性ほど、一方で精神的な安定性と協調性が高いと評価された女性ほど寿命が長い傾向がありました。
具体的には男性の「誠実性(真面目さ)」が平均値から1標準偏差高くなれば死亡リスクが約15%低くなります。
また他者評価による性格は、自己評価によるものと比較して、より死亡リスクを予測する指標として精度が高いことも分かっています。
研究チームは「この結果は人々が友人の性格を本人よりも正確に観察・評価し、数十年後の死亡率を予測できる可能性を示唆している。寿命を推定するうえで性格が予測因子として十分に機能することを示しており、友人からの性格評価が、その人の健康問題を理解するうえで重要な役割を果たす可能性を示唆している」と述べています。
ではなぜ自己評価よりも他者評価による性格の方が精度の高い寿命の予測因子になるのでしょうか。
ジャクソン氏は「他者評価が寿命を予測するのに優れている理由は主に2つ考えられる」と述べています。
1つはさきほどの約束を守るかどうかという問題のように、第三者による評価は、本人が見逃している部分を観察できている可能性があります。
次に第三者評価は、複数人(少なくとも3人以上)の平均によって算出されているからというものです。
前述したように自己評価には「社会的望ましさ」などのバイアスが存在しますが、複数人の平均値であれば個人が持っている偏見が相殺された可能性が考えられます。
自己評価での性格でも寿命を予測するのに十分な指標として機能します。
一度ネットで「big five 診断」と調べて、自分の性格を知ってみるのはいかがでしょうか。
Big Fiveに関する質問紙は、100問を超えるものが多く開発されてきましたが、近年は「Brief Big Five」のように10問程度で精度高く診断を終えることができるものもあります。
しかしより高い精度を求めるなら、自己評価よりも複数人の他者評価の平均値の方が寿命をはじめ実際の行動を予測する制度が高いです。
もし友人に会う機会があれば、自分はどのような性格だと思うかを聞いてみてはいかがでしょうか。自分の寿命を簡単に予測できるかもしれません。