ヤドカリたちがゴミを自宅にし始めている
研究チームは今回の調査にあたり、野生動物愛好家によってFlickr、iNaturalist、Google Images、YouTube、Alamyなどのオンラインプラットフォームにアップロードされたヤドカリの画像2万8994枚を対象に分析しました。
画像中のヤドカリの種類や撮影された場所、ヤドカリが身につけている殻の種類などを記録し、統計を取っています。
結果、人工物のごみを殻として身につけているヤドカリは計386匹特定されました。
殻として最も多く選ばれていたのは飲料用ボトルのキャップを代表とするプラスチック製のゴミで、全体の84.5%を占めています。
次いで金属とガラスのゴミがそれぞれ5.4%、電球の破片のような金属とガラスを組み合わせたゴミが4.7%でした。
また調査対象として確認された熱帯地域に分布する16種類の陸生ヤドカリのうち、多くを占める10種類で人工物を殻にしているヤドカリが確認されたことから、この現象は世界規模で起こっている可能性が高いと研究者は結論づけました。
ヤドカリは他の多くの甲殻類とは違い、全身が硬い外骨格に覆われているわけではありません。
特に腹部はとても柔らかく、天敵からの攻撃に対して脆弱であるため、手頃な貝殻を見つけると腹部を覆うようにして装着します。
この殻は腹部の保護だけでなく、体液の蒸発を防いだり、乾燥から身を守る役割も果たします。
そして体が成長して大きくなるごとに古い殻を脱ぎ捨てて、新しい殻に引越ししなければなりません。
その新たな引越し先として今や、人工物のゴミが世界的なトレンドとなりつつあるようです。
研究主任のマルタ・ズルキン(Marta Szulkin)氏は「最初にこれらの写真を見たときは胸が張り裂けそうでした」と述べつつも、「同時に地球の生態系はこれまでとは異なる時代に突入しており、ヤドカリたちは目の前にあって利用できるものを利用しているのでしょう」と話しました。
では、ヤドカリたちが人工物のごみを殻にするメリットはどこにあるのでしょうか?