JWSTによって「SN 1987Aから中性子星が形成された」と証明
2022年、フランソン氏ら研究チームは、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)を用いて、SN 1987Aを観測しました。
JWSTの赤外線機能と分光法を使用し、塵内のガスの組成を分析したのです。
その結果彼らは、超新星爆発が起きた場所に近いところで、イオン化したアルゴンと硫黄の存在を、電離放射線から突き止めることができました。
そしてシミュレーションを行ってみたところ、中性子性星がある場合にのみ、このような結果が得られると分かりました。
研究チームの1人であり、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)に所属するマイク・バーロウ氏も、「イオン化したアルゴンと硫黄を示す輝線(原子から発せられる光。それぞれの元素に固有のもの)の存在は、中心部に電離放射線の源が存在する直接的な証拠と言える」と述べています。
そして、「電離放射線の源は、中性子星だ」と続けました。
上の画像は、JWSTによって取得されたSN 1987Aですが、中心部に青く示されている部分が、中性子星であると結論付けられました。
1987年以来、35年以上続く謎がついに解明されたのです。
今回の発見は、中性子星に関するいくつかの理論とも一致しており、天文学者たちは、星の死と進化に関して前例のない視点を得たことになります。
またフランソン氏は、JWSTの優れた機能のおかげで中性子星の証拠をつかむことができたと説明しています。
それでも、チームの誰もが、アルゴンからの強力な輝線を通して中性子星が検出されるとは予想していなかったようで、「JWSTを使ってそのように判明したのは、ちょっと面白いですね」とコメントしています。
注目の的となってきたSN 1987Aは、今後も私たちに驚きや楽しみを提供してくれるに違いありません。