「男女平等パラドックス」とは?
個人の性格・心理については30〜50%は遺伝的に説明できるものの、残りの50〜70%は育成環境によって後天的に形成されるとされています。
また認知機能についても、遺伝子だけでなく、義務教育の有無や家族の規模が影響することがわかっています。
このような理由から人々の性格や思考は、国の生活水準、社会状況に影響を受ける可能性が高いと考えらるのです。
では、国の平均的な生活水準が高く、男女平等や、男女を区別しないという考えが進んだ社会では、実際男女の心理的特性から性差は減少しているのでしょうか?
直感に従うなら、社会環境の男女平等が進んでいるわけですから、その社会に属する男女の性格特性や認知パターンも互いに似通ってくるのではないかと予想できそうです。
ところが、いくつかの先行研究は、男女平等が進んでいる国ほど、性格を含む心理特性の性差がむしろ大きくなっていると報告しています。
この現象は社会の男女平等が進んでいるのに、個人では男女の性差が広がっていることから「男女平等パラドックス(gender-equality paradox)」と呼ばれています。
ただし、この男女平等パラドックスについては研究報告が十分ではなく、どれくらい確かなものなのかはよくわかっていません。
そこで研究チームは改めて、この男女平等パラドックスが実際に現代社会で起きている現象なのか包括的に検証してみました。