スポーツで「迷うな!」はいつも正しい?
一瞬の判断が勝負を左右するスポーツの試合において、プレイヤーは「迷う」こともあれば、「迷わずに決断する」こともあります。
例えばサッカーのPK戦では、選手はゴールキーパーが左側に動くのを見て、確信をもって右隅にボールを蹴る場合があります。
一方で、ゴールキーパーの動く方向が分からず、確信を持てないまま右隅にボールを蹴ることもあるでしょう。
従来の意思決定や運動制御の理論では、どちらも「右隅に蹴る」という同じ動作であるため、迷いが生じたか生じないかに関わらず、「脳は同じ運動として指令を出している」と考えられていました。
もしそうであれば、「迷い」は完全に時間のロスであり、練習でも「迷いを捨てる」ことが大切だと言えるかもしれません。
しかし、この考えは本当なのでしょうか。
今回、小笠氏ら研究チームは、「迷った末の運動」と「迷わずに行う運動」の違いに焦点を当てた研究を行いました。