日常生活中の血糖値を推定できるCGMとは?
実のところ、今回の研究が発表される前にも、午後や夕方以降の時間帯に体を動かすことが血糖値に良いことを示唆した研究はいくつかあります。
午後や夕方以降の運動が血糖コントロールに良い理由は、今のところはっきりと分かっているわけではないものの、どうやら骨格筋(筋肉)の働きが関係しているようです。
そもそも筋肉は、私たちが日常生活で食べた糖質を消費する、人体最大の血糖消費器官ですが、血糖値に大きな影響を与えるグルコース(ブドウ糖)を取り込む筋肉の効率が、午後に落ちることが分かっています。
そして、その筋肉の効率が落ちる時間帯に体を動かし、筋肉を収縮させることで、グルコースの取り込みが促され、血糖コントロールにプラスの効果が期待できるというのです。
ただ、体を動かす時間帯に着目した過去の研究では、早朝に代表されるような空腹時血糖値に焦点を当てており、日中の活動や食事の影響をより受ける24時間平均や夜間の血糖値との関係に着目した研究が不足しているという課題がありました。
この課題を解決する測定機器として、近年、肥満や糖尿病関連の研究で使われているのが持続グルコースモニタリングデバイス(Continuous Glucose Monitoring Device、以下「CGM デバイス」)です。
このデバイスは、数分もしくは数十分ごとに自動的に測定が行われ、装着した人の日常生活中の血糖値を継続的に評価することができます。
なお、このCGMデバイスで得られた測定値は血糖値を推定する指標として使われていますが、厳密には、CGMデバイスは細胞と細胞の間に存在する間質液中のグルコース濃度を測定しています。
今回、ルイス准教授らは、午後もしくは夜に身体活動を増やすことが、24時間や日中、夜間のグルコース濃度の低さに繋がるのか、CGMデバイスを用いることで、詳しく調べました。