・地震波の記録から、地球内部の様子を知ることができる。
・安定陸塊を通過する地震波の速度上昇が考えられていたよりも速いことがわかる
・この速度上層を最もうまく説明できるのが、安定陸塊の根にダイヤモンドが1-2%含まれるというモデル
ダイヤモンドは貴重で特別。そのため、愛を誓うのに使われたりします。でも、実はそれほど特別じゃないかもしれません。新たな研究で、地球の内側に千兆トンものダイヤモンドが含まれる可能性が示されています。
“Geochemistry, Geophysics, Geosystems”に掲載された論文によると、以前思われていたよりも1000倍も多くのダイヤモンドが地球の表層深くに存在するそうです。しかし残念ながら、このダイヤモンドを掘り出す方法は今のところありません。ダイヤモンドは145から240km深くの安定陸塊(クラトン)の「根」にあるからです。安定陸塊とは、太古からあまり動くことがない地殻で、世界の大陸の約3分の2を占めています。
Multidisciplinary Constraints on the Abundance of Diamond and Eclogite in the Cratonic Lithosphere
http://dx.doi.org/10.1029/2018GC007534
MITなどの研究者チームは、地下の地震波を調べることで、地球が隠し持っているお宝を発見しました。地震波は、それが伝わる様々な岩の組成や温度、密度に影響を受けて変化します。その性質を元に観測された記録を利用することで、到達不能な地球内部のイメージを組み立てる事ができるのです。
地震波は自然に起こる地震や津波によって引き起こされる大地の振動であり、地球表面と内部を伝わります。研究者たちが発見したのは、地震波が安定陸塊の根を通過する時、スピードアップする傾向があるということ。その上昇度は予想よりも大きく、周囲の構造よりも冷たく密度の低い安定陸塊では考えられないものでした。
研究者たちは地震活動の記録を使って、主要な安定陸塊を伝わる地震波の速度の3Dモデルを作成。そして同時に、様々な岩を形成する成分の組み合わせで作られた「仮想岩石」を地震波が伝わる速度を計算しました。
その結果、現実に観測された地震波が安定陸塊を伝わる様子を最もうまく説明できたのが、安定陸塊の根の1-2%がダイヤモンドであるという構成のときでした。残りの構成は地球のマントル上部の主要成分であるカンラン岩と、少々の榴輝岩です。
「地震波が地球を通過する時、ダイヤモンドは他のあまり含まれていない岩石や鉱物よりも速く波を伝えます。断言はできませんが、ダイヤモンドによって、データの多くを最もうまく説明することがわかったのです。当該の場所から直接サンプルを得るのは難しいので、これが現在、最良の説明です」とカリフォルニア州立大学のジョシュア・ガーバー氏は言います。
他の説では、安定陸塊の岩が実際よりももっと冷たく、物質が固くなっているので、ダイヤモンドや榴輝岩がなくても、地震波が思ったよりも速く伝わったというものもあります。しかしデータからは、その可能性は低いのではないかと考えられており、現状ダイヤモンド説が有力のようです。
via: Live Science/ translated & text by SENPAI
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