ウミウシだと誤解させるゴカイを発見
研究チームが調査する中で、新種のゴカイ「ケショウシリス」は、「ウミトサカ」と呼ばれるサンゴの仲間に共生していることが分かりました。
通常、共生性の生物は、自分の存在を隠すために宿主と似たような形や色をしていることが多いものです。
しかしケショウシリスは、宿主のウミトサカとは全く異なる色彩や形をしており、目立っていました。
このことを不思議に感じた研究チームは、彼らの生息地周辺を調べることにしました。
その結果、周辺にはケショウシリスに非常によく似たウミウシの仲間が生息していることが明らかになりました。
このウミウシたちは、「ミノ」と呼ばれる部分の先端に毒を溜め込むことで知られています。
そしてケショウシリスの非常に大きな触手は、このウミウシのミノにそっくりです。
比較画像から分かるとおり、大きな触手と小さな触手が交互に生えているところや、先端が白くなり、そこから少し離れた部位で色が濃くなっているところなど、様々な点で非常によく似ているのです。
ケショウシリスのこのような形質は近縁種では見られておらず、そのことは、このケショウシリスが「ウミウシに擬態するゴカイ」として世界で初めて発見されたことを示しています。
では、ケショウシリスは、どうしてウミウシに擬態しているのでしょうか。