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Credit: canva
biology

「好きな匂い」は文化や民族で変わらない⁈ 全人類が好きなのはあの香り

2022.04.05 17:00:57 Tuesday

海外の空港に降り立つと、自国とまったく違う匂いに驚かされます。

日本だと、よく「醤油の匂いがする」と言われますが、国や文化によって人が好む匂いは違うのでしょうか?

スウェーデン・カロリンスカ研究所(Karolinska Institute)を中心とする国際研究グループは2022年に、世界の異なる文化・民族間で「匂いの好み」がどう変わるかを調査

その結果、文化の違いに関係なく、人類には共通して好む匂い(また苦手とする匂い)が存在すると判明したのです。

研究の詳細は2022年4月4日付で科学雑誌『Current Biology』に掲載されています。

This Could Be The World’s Favorite Scent, No Matter Where You Are From https://www.sciencealert.com/these-are-the-world-s-favorite-smells-no-matter-where-you-re-from-scientists-say People around the world like the same kinds of smells https://phys.org/news/2022-04-people-world-kinds.html
The perception of odor pleasantness is shared across cultures https://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(22)00332-3

人類が好む匂いベスト3が判明!ワーストも

この研究では、先住の狩猟採集民から伝統的な農耕民族、現代の都市生活者まで、10の異なる文化集団を対象に、10タイプの異なる香りを嗅いでもらいました

チームは、タイ、メキシコ、エクアドル、アメリカなどに直接出向き、砂漠、熱帯雨林、高地気候、沿岸地域、都市部といったあらゆる環境に住む人々からデータを収集。

調査には、タイ・マレー半島に住むセマク・ベリ(Semaq Beri)族の狩猟採集民、エクアドルのチャチ(Chachi)族の自給園芸・農耕民、ニューヨークの都市生活者など、合計280名以上が参加しています。

参加者には、ランダムに並べられた10本のペン型の匂い装置を提示し、それぞれの匂いを嗅いで、最も心地よいものから、最も不快なものまでランク付けしてもらいました。

調査対象となった10の文化・民族
調査対象となった10の文化・民族 / Credit: Artin Arshamian et al., Current Biology(2022)

その結果、個人間に好みの差はあったものの、文化間では好みの匂いに強い一致が見られたのです。

最も心地よいとされた匂い第1位は「バニリン(バニラエッセンスの主成分)」で、第2位が「酪酸エチル(桃などフルーツ系の香り)」、第3位が「リナロール(花の香り)」でした。

これらの香りは芳香剤や食べ物の添加によく利用される印象がありますが、きちんと理由があったようです。

反対に、最も不快とされた匂いは「イソ吉草酸(3-メチルブタン酸)」で、これはチーズや豆乳、汗などに含まれる他、足の裏の匂いの原因物質とされる刺激的な匂い分子です。

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