皮肉で締めた映画
『スーパーサイズ・ミー2:ホーリーチキン!』の終盤において、スパーロック氏は、ファストフード業界が健康ハロー効果をいかに巧妙に利用しているかを自らの店を使って実証しました。
この店では、デザインやメニューの表現において、緑色や自然を連想させるビジュアル、そして「フレッシュ」「ナチュラル」「ホルモンフリー」といった健康的に見えるキーワードが多用されています。
しかし、これらは単なる見せかけで、提供されるメニューの本質が健康的でないことが来店客には明確に伝わるように描かれています。
つまり、消費者が「健康」に見せかけた広告やマーケティングに騙されている現状を皮肉たっぷりに描き出すことで、視聴者に対して表面的な健康イメージに騙されないよう注意を促すメッセージ性を感じられる作品となっているのです。
ちなみに、この映画はプレミア上映後にスパーロック氏自身の過去の過ち(性的不品行、ハラスメント)が明らかになり、劇場公開は2年後の2019年まで実現しませんでした。
こういった出来事や背景も、『スーパーサイズ・ミー』よりも世間に広まらなかった理由の一因だと考えられます。
さて、続編が公開されて5年以上が経過しましたが、ファストフード業界をはじめとして、外食産業では依然として健康に対する懸念が残っていると言われています。
確かに、昔に比べると、サラダやグリルチキンなどの健康志向のメニューを導入している店が増えた一方で、高カロリーのメニューの人気が根強いことは事実です。
また、店内のメニュー表やインターネットサイトを通じて栄養情報にアクセスしやすくなった反面、健康意識が高い層とそうでない層のギャップは広がっているように感じます。
こうした状況を踏まえると、私たち消費者は、健康情報を自らが正しく解釈し、ライフスタイルに合った賢い選択をする力を養うことが求められていると言えます。
何となく健康っぽく見える言葉で思考停止に陥るのではなく、健康的な選択をするための知識、リテラシーを高めることが、今後ますます重要になってくるに違いありません。