健康ハロー効果とは?
2017年に公開された『スーパーサイズ・ミー2:ホーリーチキン!』は、2004年に大ヒットしたドキュメンタリー映画『スーパーサイズ・ミー』の続編です。
前作では、モーガン・スパーロック氏が30日間、マクドナルドの商品だけを食べ続け、ファストフードが心身の健康に与える影響をテーマにしていました。
続編では、スパーロック氏が自らファストフード店(ホーリーチキン)の開店準備を進める中で、前作から10年以上経過したファストフード業界が本当に変わったのかを、違った角度から探っています。
当時のファストフード業界は、前作の影響もあってかいくつかの変化が見られました。
具体的には、マクドナルドでのスーパーサイズの廃止やサラダメニューの登場、さらには各ファストフード店での「フレッシュ」「ナチュラル」「ホームメイド」「クリスピー」といった健康的に見える宣伝文句やメニューの増加です。
また、多くの店舗の内装がオレンジやグリーンを基調としていて、心地よさを演出し、中には農場や野菜の写真が飾られているチェーン店もありました。
しかし、スパーロック氏は、こうした変化が本質的なものではなく、見せかけに過ぎないことに気付きます。
たとえば、フライドチキンの名前がクリスピーチキンに変わったとしても、鶏肉を油で揚げている事実は変わりません。
また、店舗内の壁が新鮮な野菜であふれていても、ハンバーガーに少量の野菜が挟まれているだけでは、健康的な食事とは言えませんし、そもそも野菜を食べたからといって、他の脂っぽい食材でとったカロリーが無効になるわけではありません。
しかし、皆さんもハンバーガーを食べる際、野菜も挟まってるし栄養バランスは良いはずと頭の中で謎の言い訳をしながら食べたことはないでしょうか?
このように、ある1つの「健康的」に見えるイメージによって全体の評価が歪む現象を、健康ハロー効果と呼びます。
ハロー効果のハローとは、天使や聖人の頭上に描かれる光の輪(halo)のことです。これは一つの特徴がその人や商品全体の評価に強く影響を与える心理的なバイアスになることを意味しています。
たとえば、「ナチュラル」や「甘さひかえめ」といったラベルが付いていたり、緑色のパッケージや自然を連想させるデザインが使われていたりすると、その商品全体が健康的だと誤って判断されることがあります。
健康ハロー効果は、健康志向、健康ブームと呼ばれる現代社会において、ファストフード業界に限らず、商品を健康的だと錯覚させることで私たちの購買行動に影響を与え、企業のマーケティング戦略として広く活用されています。
『スーパーサイズ・ミー2』ではこの問題に言及していたわけです。では、この健康ハロー効果に関して、研究の世界ではどのような報告がされているのでしょうか? 次はこの点についてみていきましょう。