約20種が新種の可能性!生き姿を初めて見る「幻のイカ」も
フサアンコウ
まずは深海探査でおなじみとなったこちらの魚。
前回の調査でも見つかっていたこの生物はフサアンコウ科(Chaunacidae)の一種と見られる深海魚で、真っ赤な体と無数に生えた細い突起が特徴的です。
彼らは胸ビレを使って海底の岩場を歩くように進みます。
この個体は水深1430メートル付近で見つかりました。
キャスパータコ
続いてはこちらの青白い風船のようなタコ。
これは非常に珍しいタコで、2016年に太平洋のハワイ沖で初発見されました。
しかしそれ以降、生きた標本が採取されなかったため、詳しい調査が進んでおらず、いまだ正式な学名がついていません。
現在は見た目がファンタジー映画『キャスパー』(1995)に出てくるお化けに似ていることから「キャスパータコ(Casper octopus)」と通称されています。
南太平洋で見つかったのは初めてであり、この個体は水深4443メートル付近で捉えられました。
ユメカサゴ
こちらの色鮮やかな魚は、ユメカサゴ属の一種「ヘリコレヌス・レンゲリチ(Helicolenus lengerichi )」です。
ユメカサゴはインド洋、太平洋、大西洋にかけて広く分布するよく知られた魚種です。
海底でじっとしている姿が眼を開けたまま夢を見て寝ているように見えることから、この和名が付けられたとの説があります。
チリ沖の海山にも住んでいたようですね。
コシオリエビ
コシオリエビ上科(Squat lobster)の一種と見られるロブスターも見つかりました。
コシオリエビは深海探査でよく見つかる生物ですが、こちらの薄ピンクの種は観察例がなく、チームも「新種の可能性が高い」と考えています。
スパゲッティモンスター
さらに前回の探査でも見つかっていたエイリアンのような深海生物が確認されました。
こちらはクダクラゲ目のボウズニラ科に属する一種と考えらており、たくさんの触手と海中をふわふわと漂う様子から”空飛ぶスパゲッティ・モンスター(flying spaghetti monster)”と通称されています。
生き姿を初めて見る「幻のイカ」
そして今回の目玉となるのは、こちらの小さな深海イカです。
これはプロマコテウティス属(Promachoteuthis)に分類されるイカであり、このグループはこれまでに3種のみが確認されています。
しかし、いずれも1800年代後半に採取された少数の遺骸にのみ基づいており、死んだ状態でしか見つかっていませんでした。
それが今回ついに生きた姿が初めて確認され、海洋生物学上の貴重な発見となりました。
28日間にわたる深海探査で、新種の可能性が高い生物は20種ほど見つかったとのことです。
SOIの海洋生物学者であるトマー・ケッター(Tomer Ketter)氏は「私たちの発見は深海の生態系の驚くべき多様性を浮き彫りにした」と説明。
その上で「これらの調査で収集されたデータは将来的に、海山の生態系の保護活動に役立つと期待される」と話しました。
深海探査は今後も定期的に継続される予定で、その度に深海に潜む未知の生物たちが明らかになるでしょう。
こちらはチリ沖の深海探査の第1弾です。
こちらの記事が第2弾です。
こちらの動画は今回の調査で見つかった生物たちのダイジェスト映像です。