判断をする時に情報が必ずしも多ければよいとは限らない
判断をする時に情報が必ずしも多ければよいとは限らない / Credit: Canva
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判断をする時に情報が必ずしも多ければよいとは限らない

2024.11.05 Tuesday

物事の判断をするときに、情報を多く持っている方が、良い判断ができるはずと考える人は多いでしょう。

しかしその集めた情報が意思決定の精度を下げるケースがあるようです。

米スティーブンス工科大学のミン・ジェン氏らは、新たに得た追加情報が判断の質を本当に上げるのかを調べました。

実験では、参加者に「2型糖尿病」の症状の改善に必要な行動について選択肢問題を出し、糖尿病改善についての追加情報を与える場合と与えない場合での正答率を比較しています。

結果、「2型糖尿病」に罹患したことがある人は、追加の情報が与えられた場合に、与えられない場合と比較して、問題の正答率を下がることが確認されました。

過去に経験がある事柄は、反射的に答えを導き出せるはずです。

しかしそこに追加の情報が入ってくることで「自分の判断」は正しいのかと疑念が生まれ、判断が狂うかもしれません。

研究の詳細は2020年2月13日付で心理学ジャーナル『Cognitive Research: Principles and Implications』に掲載されました。

How causal information affects decisions https://doi.org/10.1186/s41235-020-0206-z

情報が多い方が良い判断ができるのか

情報が多い方が良い判断ができるのか
情報が多い方が良い判断ができるのか / Credit: Canva

物事を判断する際に情報を集めるのは、意思決定の精度を上げるための基本中の基本です。

情報を集めることで、状況の把握や問題の理解を深め、潜在的なリスクの回避や視点の多様性を持ち、バイアスを避けることができます。

またより多くの情報を持つことで、自分の判断に対する自信が高まり、確信を持って実行することができるでしょう。

しかし近年の研究によると、必ずしも判断をする際に、追加情報がプラスに働かないことを報告しています。

それは米スティーブンス工科大学のミン・ジェン氏らの研究です。

彼らは、オンラインで集めた参加者1,718名に対し、以下の問題を出しました。

「ジェーンは大学に入学したばかりで、授業や課外活動で忙しいスケジュールに慣れようとしています。彼女は『freshman 15』(大学1年生が最初の1年間で15ポンド(約7キロ)体重が増える現象)について聞いたことがあり、それを避けたいと考えています。しかし、新しい友達を作ったり、宿題や勉強の時間を確保することも大切だと思っています。ジェーンが目標を達成するために、ベストな行動はどれですか?

A. 毎週末に30分の散歩に行く
B. 健康的な食事を維持する
C. 友達と遊ぶのを避ける
D. テレビをあまり見ないようにする」

また研究チームは、彼らを問題以外の情報を与えない人と文章で追加情報を与える人、体重管理に関する要因の図解を見る人に分けています。

実験で提示された文章と図解。
実験で提示された文章と図解。 / Credit: Zheng et al., (2020).

さて追加情報の有無、追加情報が与えられた時の種類によって正答率は変わったのでしょうか。

結果、追加で情報を得た人よりも、追加で情報を得なかった人の正答率が高くなりました(問題の答えは「B. 健康的な食事を維持する」)。

経験がある事柄は追加情報がない方が選択問題の正答率が高い
経験がある事柄は追加情報がない方が選択問題の正答率が高い / Credit: Zheng et al., (2020).

この結果を受け、研究チームは「過去に経験がある事柄についての追加情報は意思決定の邪魔になり、精度を下げる」のではと考察しています。

減量は多くの人が経験している事柄ゆえに、追加情報が判断の精度を低下させた可能性があると言えるでしょう。

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