世の中には、ジムのプレート(重り)を丸ごと持ち上げられるような怪力男性も存在する
世の中には、ジムのプレート(重り)を丸ごと持ち上げられるような怪力男性も存在する / Credit: Canva
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デッドリフト500kg!世界最強チャンピオンの筋肉は何が特別なのか? (2/2)

2024.09.25 Wednesday

前ページ世界一の怪力男・エディ・ホール氏

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骨盤や大腿骨を安定させる筋肉の発達がスゴい

まず、下半身の筋肉全体でみると、彼の筋肉量は一般人のおよそ2倍(+96%)もあり、スプリンターと比べても、1.3倍(+32%)大きいことが分かりました。

それ以上に興味深いことに、下半身の筋肉量の発達度合いは部位ごとに大きく異なっていました。

特に発達していたのは、骨盤や太ももの骨(大腿骨)を安定させる役割を持ち、最終的には鵞足(がそく)と呼ばれる部位に付着する縫工筋(ほうこうきん)、薄筋(はっきん)、半腱様筋(はんけんようきん)という筋肉で、一般人に比べて、2.5~3倍も大きくなっていることが判明しました。

世界最強の力自慢の筋肉の中でより著しく発達していた部位(イメージ)
世界最強の力自慢の筋肉の中でより著しく発達していた部位(イメージ) / Credit: 写真AC

これらの筋肉は、一般にはマイナーな存在ですが、ラクダを持ち上げるのに相当する、500kgのデッドリフトを達成するためには、骨盤や大腿骨を安定させることが大切になるため、発達したものと考えられます。

研究グループは、膝や股関節を伸ばすメジャーな筋肉が最も発達していると予想していたため、得られた結果には驚いたと同時に、トレーニングや競技で最も使用する筋肉が特に発達していたことを踏まえ、運動刺激によって、人間の筋肉が成長できることを示すものだと述べています。

この記事を読んでいる人の多くは、彼ほどに筋肉を大きくすることは望んでいないでしょうが、筋肉を成長させるために、日々の取り組みが鍵となることは誰しも同じです。

実際、彼は何も特別なメニューをやっていたわけではなく、スクワット、デッドリフト、ベンチプレス、バーベルローなど、筋トレ愛好者の多くが好む種目を日々継続することで、筋肉を大きくさせていました。

ただ本当に凄いのは、食事量にあって、当時、彼は1日6〜7食、合計で16000kcalも摂取していました。

YouTubeで彼の食事を振り返る動画を見ると、朝食だけで2000kcalを摂っており、これは成人女性が1日に摂取するカロリー(目安)に匹敵します。

エディ・ホール氏の朝食
エディ・ホール氏の朝食 / Credit: Eddie Hall The Beast, I ate my old Strongman diet for a day

筋肉は脂肪に比べて、安静時でも多くのカロリーを消費しますが、身体全体に筋肉の鎧をまとい、日々トレーニングを続けた彼が消費するエネルギーは、相当なものであったと想像できます。

実際、大食漢のトップアスリートは他にも存在し、トップアスリートの成功の秘訣として語られることもあります。 たとえば、夏季五輪で28個のメダルを獲得した「水の怪物」ことマイケル・フェルプス氏は、現役時代に1日1万2000kcalも摂取していた時期があり、「良く食べ、良く睡眠をとり、良く泳ぐこと。これが僕にできることのすべてだ」とも語っています。

ということで、エディ・ホール氏の真の強さは、常人には食べられないボリュームの食事を摂ることで、身体を回復させながら重い物を日々持ち上げることを可能にした強靭な内臓にあったと言えるでしょう。

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