都会の方が降雨量が多くなる原因とは?
研究者らは、都会の多くが近隣の田舎よりも降雨量が多くなるのにはいくつかの要因があると話します。
その中でも重要なファクターの一つは「高層ビル群」の存在です。
ヒートアイランド現象の際にも説明したように、高層ビル群は風速を遅らせたり、風が通り抜けるのを妨げます。
すると空気が都心に向かって収束するように留まり、ヒートアイランド現象で暖められることで上空に向かって上昇。
この暖まった空気の上昇が水蒸気の凝結と雲の形成を促し、都市部に多くの降水をもたらしていたのです。
それに加えて、研究者らは人口の多さも都市部の降雨量の増加と相関している証拠を発見しました。
これはおそらく、人口密度が高くなることで、自動車やエアコンなどによる温室効果ガスの排出量が増えるため、空気の加熱が促進されるからだと説明されています。
これらの説明を踏まえると、ヒートアイランド現象に関わっている要因がそのまま「ウェットアイランド現象」にも繋がっていることがわかるでしょう。
この現象について、研究主任のデブ・ニヨギ(Dev Niyogi)氏は「都市上空で大きな水風船を破裂させるようなものだ」と例えています。
暖かい空気は冷たい空気よりも多分に水分を含むことができます。
つまり、都市に留まった暖かい空気の塊はまさに「水風船」のようなものと言えるでしょう。
あとはその空気塊が上空に運ばれて冷えるにつれて、気体が水滴となり、雨となって落ちてくるのです。
都市部の水害を増やさないために
しかもニヨギ氏らによれば、都市部の降雨量の増加は温暖化が進んでいる過去20年間において、より顕著になっていたといいます。
何らの対策もしなければ、世界の都市部では今後もますます大雨や洪水による水害が増え続けることが懸念されるでしょう。
そこでニヨギ氏は「都市部の水害を防ぐためにもグリーンインフラについて考え始めるべきです」と訴えました。
グリーンインフラとは、街路樹や緑道など、より多くの自然を取り入れた都市設計をすることです。
これにより気温の上昇を効果的に抑制しながら、大雨による水害の発生を防ぐことができると考えられています。