競走馬の再就職は簡単ではない
国内外で競走馬が引退した後のセカンドキャリアに注目が集まっています。
日本ダービー(GⅠ)を制したウオッカなど数々の名馬を輩出した、角居勝彦元調教師が引退競走馬の支援施設を開設したことでも話題になりました。
また、イギリスではなんと競走馬の国勢調査を行い、引退後の競走馬が行方不明にならないよう、どのような生活を送っているのか追跡するためのトーレーサビリティを高める活動に取り組んでいます。
競走馬は、平均寿命25〜30歳といわれ、概ね5歳前後で引退しますが、長い馬では引退後30年近く生きるため、「第二の馬生」はとても重要です。
日本では引退後、種牡馬または繁殖牝馬にならない馬の多くは乗用馬として乗馬クラブなどで活躍しています。
しかし、人間同様、競走馬の再就職もそう簡単ではありません。
農林水産省が2024年6月に発行した「馬産地をめぐる情勢」によると、2022年末の在籍登録頭数21,458頭のうち、約半数の11,024頭が2023年に競走馬登録を抹消しています。
登録抹消した主な理由は、一度登録抹消して中央競馬と地方競馬間で移籍し再び競走馬登録する再登録馬3,961頭、乗用馬3,257頭、繁殖馬1,281頭でした。
それ以外には、馬のワクチン開発といった研究に用いられる研究馬、競走中や調教中などに死亡したへい死、所在がはっきり分からない馬もいるというのが現状です。
この登録抹消頭数には再登録馬も含まれてはいるものの、乗用馬として再就職できる馬は約30%と割合が高いとはいえません。
一体なぜなのでしょうか?