「人間の骨」の強さの秘密
人間の骨は、主に「皮質骨」と「海綿骨」の2層で構成されています。
皮質骨は表面の硬い部分であり、骨の強度を保つ役割を担っています。
一方、海綿骨は皮質骨の内側にあるスポンジのような網目構造になっており、その隙間には骨髄が詰まっています。
この海綿骨のスポンジ構造のおかげで、骨は軽量化されており、「軽くて丈夫な骨」を実現するのに役立っています。
今回、モイニ氏ら研究チームが着目したのは、表面の硬い部分である「皮質骨」の構造です。
海綿骨と比べると密度が高い皮質骨も、実はその内部に複雑な構造と空洞が含まれています。
図が示すように、皮質骨は、まるでバームクーヘンのような楕円形の管で構成されています。
この「バームクーヘンの集合」は、皮質骨に衝撃が加わった時に高い効果を発揮します。
衝撃によって生じた亀裂は、その進展が「バームクーヘン」の形に沿って周囲に逸れていくため、一気に骨が破損するようなことが無くなるのです。
つまり、皮質骨の内部にあるバームクーヘンのような構造が、破壊靭性(亀裂の進展や破壊に対する抵抗力)を高めています。
この構造を模倣するなら、従来の建材をはるかに強固なものにできるかもしれません。