既存の波の理解は2次元世界をベースにしていた
これまでの砕波に関する研究は主に2次元的な波を前提として行われてきました。
ここで言う2次元とは上の図のように、波の断面図を描くものです。
簡単に言えば、子供が紙に描く波に近いものと言えます。
横軸(x)と高さの軸(η)しかなく、奥行きは考慮されていません。
実際、現実世界で現れる波は2次元的なモデルで予測されるよりも遥かに急な傾きになることが知られています。
冒頭にある巨大な三角コーンのような波がその代表例であり、このような2次元モデルからは予測できない波のことを一般には「3次元波」と呼んでいます。
このような3次元波は大きな問題になり得ます。
というのも、現在の海上建築物や船は、2次元的な波のモデルをもとに設計しているからです。
あえて極論すれば、机上の空論(2次元モデル)をもとにした設計と言えます。
そのため異常な3次元波が発生すると、2次元モデルに耐えるように設計された建築物は崩壊してしまうこともあります。
そこで今回、オックスフォード大学の研究者たちは、巨大な円形のプールを使用し、3次元波が起こる仕組みを解明することになりました。