ネコは人間の赤ちゃんよりも速く単語を学習できる
ネコは人間の赤ちゃんよりも速く単語を学習できる / Credit: Saho Takagi et al., Scientific Reports(2024)
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「ネコは言葉がわかる?」人間の赤ちゃんより単語の音と意味を結びつける能力に優れていた (2/2)

2024.11.27 Wednesday

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単語連想力テストでネコが人間の赤ちゃんに圧勝

単語連想力テストは、ネコカフェ所属のネコ23匹と家庭で飼われているネコ8匹、合計31匹の協力のもと行われました。

まず、赤色の「太陽」と青色の「ペガサス」の画像を準備し、それぞれに対応する言葉として「Parumo」、「Keraru」という意味を持たない単語を割り当てました。

人間は3色型色覚を持ち赤・青・緑を区別できますが、ネコは2色型色覚であり赤と緑を見分けられないため、画像には赤と青が使用されました。

そして、飼い主が単語を発している音声を同時に流しながら、この画像に拡大・縮小のアニメーションをつけたものをラップトップパソコンのモニターで繰り返しネコに見せました。

テストの第一段階として、ネコが「太陽」は「Parumo」である、「ペガサス」は「Keraru」である、と認識して刺激に慣れるよう、正しい組み合わせのアニメーションを繰り返し見せ、ネコがモニターを注視する時間を測定しました。

(資料画像ではKeraruは雲のイラストに見えるが、論文ではペガサスを用いたと説明されている)

ネコがモニターを見る時間が減るほど刺激に慣れたことを意味しており、注視時間が最初に映像を見せた時より50%減少するまでこのテスト段階を続けました。

基準を満たした後、テストの第二段階として、提示する画像と単語の組み合わせを半数入れ替えてアニメーションを見せました。

第一段階:2種類の画像に意味を持たない単語を割り当てネコに見せる、第二段階:正しい組み合わせだけでなく画像と単語を入れ替えた組み合わせを見せる
第一段階:2種類の画像に意味を持たない単語を割り当てネコに見せる、第二段階:正しい組み合わせだけでなく画像と単語を入れ替えた組み合わせを見せる / Credit: Saho Takagi et al., Scientific Reports(2024)

テストの結果、ネコは画像と単語の組み合わせの入れ替えに気付き、正しい組み合わせを提示した時に比べてモニターの注視時間が長くなりました。

つまり、ネコは「太陽」=「Parumo」というように画像と単語を関連づけることができると証明されたのです。

また、注目すべきことに、1つの画像と単語の組み合わせを学習するのに、ネコはわずか2回の9秒間しかかかりませんでした。

同様のテストにおいて、人間の赤ちゃんは4回の20秒間かかったのと比較すると約4倍の速さという驚くべき結果でした。

現時点では、ネコがこれほど速く学習できる理由は明らかになっておらず、自ら人間との暮らしに適応してきた自己家畜化の結果である遺伝的な能力なのか、あるいは人間と生活しながら経験的に獲得されてきたのかは謎のままです。

また、優秀なイヌは一度覚えた単語を2カ月間記憶しておけるとの研究結果もあり、ネコがどれくらいの期間、学習した記憶を保てるのかも気になるところです。

今後、野良ネコやイヌ、他の家畜との比較研究が行われれば、これらの謎が解明され、ネコ語翻訳機やアプリなどコミュニケーションツールのさらなる発展も期待されます。

少なくとも、今回の研究結果からネコが人間の会話を聞き、単語を素早く学習できることがわかったため、「毎日話しかけても無駄かもしれない」と諦めかけていた飼い主にとっては朗報といえます。

たとえ愛猫が無反応でもめげずに話しかけてみましょう。

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