なぜ急にネズミを食べ始めたのか?
今回の調査は同州コントラコスタ郡にあるブリオネス地域公園にて、2024年6月10日〜7月30日にかけて行われました。
捕獲した野生のカリフォルニアジリスたちにタグ付をし、それぞれの食事行動を映像や写真などで追跡観察しています。
その結果、リスとネズミの接触は調査期間中に74回確認され、そのうち42%の割合でリスがネズミを捕食していたことがわかったのです。
ネズミを捕食したリスは性別もバラバラで、大人だけでなく子供も狩りに参加しており、性別や年齢に固有の行動ではないようでした。
では、なぜリスたちは急にネズミを捕食するようになったのでしょうか?
実はカリフォルニア州では10年ほど前からネズミが繁殖し始めており、調査対象地域でも個体数がどんどん急増していたのです。
それまで木の実や種子をメインに食べてきた地元のリスたちも、急に増えてきたネズミを餌資源として利用し始めたのだと考えられています。
調査では、リスの肉食行動は7月の最初の2週間にピークを迎えていましたが、それはネズミの数が繁殖により急増している時期と一致していました。
この結果を受けて、同チームのジェニファー・スミス(Jennifer Smith)氏は「リスがネズミを捕食する行動は過去に見たことがなかったため、これは非常に衝撃的な事実でした」と話しています。
それに加えて、スミス氏は「リスは環境に合わせて餌資源を柔軟に変えられる日和見主義者なのだと考えられます」と指摘しました。
つまり、リスはどんな状況でも木の実や種子をメインとする草食を貫くのではなく、ネズミが増えてきたら肉食に切り替えることも可能だったのです。
「最も驚くべきはネズミの急増に対応してリスが食性を変化させたスピードの速さでした」とスミス氏は指摘します。
この環境適応力はリスが人為的な活動による生息地の変化にすばやく対応できる可能性を示唆するものです。
「今回の研究は従来のリスに対する見方を一変させ、人間が引き起こした気候変動や干ばつの中でも、リスたちは変わりゆく世界に順応して生きていける潜在能力があることを示している」とスミス氏は述べています。
チームは今後、リスの肉食行動はどの程度広がっているのか、親から子へどのように受け継がれているのかなど、不明な点を解決していく予定とのこと。
リスはアニメや映画の中で愛らしいキャラとして描かれがちですが、どうやらただ可愛いだけでは済まないようです。
こちらはリスがネズミを捕食する映像をまとめたものになります。音声はありません。
とっても面白いです。これからも頑張ってください🙇♀️