噛む力は生物の中で最強の「ピラニア」
ピラニアはフィクション作品の中ではかなり恐ろしい魚として描かれることがあり、実際の映像でも恐怖を煽るようなものが数多くあります。
しかしピラニアは本当にそれほど凶暴なのでしょうか?
私たち人間がピラニアに食い尽くされて死ぬようなことはあるのでしょうか?
ピラニアは、アマゾン川や南アメリカの熱帯地方に生息する肉食の淡水魚の総称です。
主に、カラシン目セルラサルムス科セルラサルムス亜科(Serrasalminae)に属する種を「ピラニア」と呼びますが、実際には分類が曖昧な種もあります。
体長は様々で、小型の種は15cmほどですが、大型種になると60cmにもなります。
ピラニアという名前は、現地のトゥピ語から来ており、「歯のある魚」という意味があります。
魚の歯はその種類によって形や役割が様々ですが、ピラニアは、その名前の通り、歯に大きな特徴があります。
硬くて鋭く尖ったまるでナイフのような歯を持っており、獲物の肉や骨を食いちぎるのに適しています。
また、ピラニアは魚の中でも際立った咬合力(噛みしめる力)を持っています。
実際、カイロ・アメリカン大学(AUC)の2012年の研究では、ブラック・ピラニア(学名:Serrasalmus rhombeus)は、体重に対する咬合力で比較すると、脊椎動物の中で最も強い咬合力を持つ種の1つだと報告しています。
この強力な咬合力は、大きな顎筋よって生み出されており、素早く噛むことよりも強い力で噛むことを機能的に優先しています。
鋭い歯と強力な顎の組み合わせがが「肉を引き裂く」ことを可能にしているのです。
そしてピラニアの野生種は、この力を使って、川にいる魚や小さな水生動物を食べています。
稀に、川に落ちたひな鳥やネズミの死骸を食べることもあります。
またピラニアは集団で獲物を食べる習性があり、狩りの際には群れを形成することがよくあります。
とはいえ、全ての種がこのような習性を示すわけではなく、単独で獲物を狩る種も存在します。
では、このようなピラニアにとって、人間もまた獲物の対象となるのでしょうか。