見落としがちな鼻づまりのリスク
日常生活で鼻がつまると、まず思い浮かぶのは「呼吸が苦しい」、「睡眠の質が下がる」、「口呼吸になってしまう」といった悩みではないでしょうか。
実際、鼻づまりが続くと鼻腔で行われる空気のろ過や湿度調整が十分に働かず、体内への酸素供給効率が落ちる恐れがあります。
これによって朝からなんとなく体がだるかったり、夜中に目が覚めたりしやすくなるなど、疲れやすくなる悪循環が起こりがちです。
さらに、口呼吸中心になると口内が乾燥しやすく、喉の炎症リスクも高まるため注意が必要です。
しかも鼻づまりの問題は、身体面だけではとどまりません。
最近は「鼻呼吸のリズムが脳波にも影響し、集中力や記憶力に変化が起こる可能性がある」という研究報告が少しずつ増えています。
鼻が詰まって呼吸が浅くなると、睡眠時やリラックス時の脳の活動パターンが変化して、結果的にイライラしやすくなったり、気分が落ち込みやすくなったりするかもしれないのです。
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もちろん鼻づまりだけが原因とは限りませんが、「慢性的に呼吸がしづらい」状態を長く放っておくのは得策ではないでしょう。
特に、花粉症やアレルギー性鼻炎を持つ人は軽い鼻づまりに慣れてしまいがちです。
しかし、セルフケア(鼻うがいや吸入器の活用、睡眠時の姿勢調整など)を地道に行うだけで、体感がかなり変わるケースもあります。
「たかが鼻づまり」と侮っていると、知らないうちに日常生活のクオリティを下げているかもしれません。
東京科学大学の研究チームの論文は、こうした鼻づまりの影響をさらに深く探ったものになります。
鼻呼吸ができない状態で長期間過ごしたマウスの脳回路を調べたところ、驚くほどはっきりした変化が見られたそうです。