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男性が歯周病になりやすいのはなぜ? / Credit:Canva
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男性が歯周病になりやすい理由が判明!原因は”免疫”だった

2025.11.25 11:30:00 Tuesday

男性は女性よりも歯周病になりやすいことで知られています。

これまでは歯磨きの習慣や歯科医院に行く頻度など、生活習慣の違いが主な原因だと考えられてきました。

しかし、アメリカのノースカロライナ大学チャペルヒル校(UNC)の研究チームは、生活習慣だけでは説明できない「体の内部の仕組み」に注目しました。

その結果、男性の歯周病が進みやすい背景には、「IL-1β(インターロイキン1β)」という炎症物質が男性で強く働くことが関係していると分かりました。

この研究成果は、2025年10月27日付の科学誌『Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)』に掲載されています。

Men get worse gum disease and tooth decay – and now we know why https://newatlas.com/health-wellbeing/gum-disease-inflammasome-males/ New study reveals key role of inflammasome in male-biased periodontitis https://www.eurekalert.org/news-releases/1106128
Inflammasome targeting for periodontitis prevention is sex dependent https://doi.org/10.1073/pnas.2507092122

男性が歯周病になりやすいのは「インターロイキン1β」が多いから!?

歯周病は、歯周組織に細菌が感染して炎症を起こし、進行することで、歯を支える骨が少しずつ溶けていく病気です。

さらに進行すると歯が抜けてしまうこともあります。

そして多くの疫学研究で、男性のほうが女性より歯周病になりやすく、また重症化しやすいことが報告されています。

しかし、それが本当に生活習慣だけの違いなのか、もともとの体質の違いもあるのかは、はっきりしていませんでした。

そこで研究チームは、体内で炎症を強める「IL-1β(インターロイキン1β)」に注目し、その量に男女差があるのかどうかを詳しく調べることにしました。

IL-1βは、免疫細胞が「体に危険がある」と感じたときに出す、炎症を起こすメッセージ物質です。

歯周病だけでなく、脳の炎症や目の病気など、さまざまな病気にも関わっていることが知られています。

研究チームはまず、健康な人から歯周病患者までを含む3つの人の研究データを集め、合計で6200人以上を対象にIL-1βの量を解析しました。

ここでは、歯ぐきから採取した生検組織や、歯と歯ぐきの境目にたまる「歯肉溝滲出液」と呼ばれる液体が調べられました。

歯肉溝滲出液は、歯周病の炎症の強さをよく反映する場所として知られています。

その結果、健康な歯ぐきの人でも、軽い炎症の人でも、中等度から重度の歯周病の人でも、どの段階でも男性のほうが女性よりIL-1βが高いことが分かりました。

重症の歯周病患者だけを取り出して比較しても、この傾向は変わりませんでした。

この結果は、少なくともIL-1βという炎症物質については、男性のほうが強く反応しやすい体質があることを示しています。

つまり、男性はもともと、歯ぐきのまわりでIL-1βが過剰に働きやすい「炎症のスイッチ」を持っている可能性が高いのです。

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