まばたきの秘密:ただの目の潤いではない?
「まばたき」は生理的な動作として、目を潤し、異物を取り除くという役割を果たします。
しかし、私たちが毎分約15回もまばたきをする理由は、それだけでは説明できません。
なぜなら、実際に目を澄すためには毎分2回程度のまばたきで十分だと言われているからです。
仮に目を潤すためにもう少し多くのまばたきが必要だったとしても、毎分15回はやはり多いのです。
では、私たちがまばたきをする目的には、別のどんな要素が含まれているのでしょうか。
これまでの研究では、視覚入力を一時的に止めるまばたきが、脳の活動と密接に関わっていることが示されてきました。
例えば、集中力を要するタスク中にはまばたきが減り、タスク終了後に増える傾向があります。
これは、まばたきが認知的な「切り替え」や「休憩」のタイミングとして機能している可能性を示唆しています。
さらに、アーサー・ホール(Arthur Hall)氏が1945年に行った先駆的な研究では、読書中に句読点や文末でまばたきが増えることが観察されており、これが注意の区切りや情報の処理と関連しているとされています。
彼はまた、読書中のまばたきが句読点や珍しい単語で増加することを示し、まばたきが情報処理に関与している可能性を提案しました。
しかし、このホール氏の研究は、データが限られていたことや主観的な判断が含まれていたことが指摘されており、彼の仮説を検証する必要がありました。
そこで今回、ベルギーのゲント大学(Ghent University)のルイザ・ボガーツ(Louisa Bogaerts)氏とそのチームは、ホール氏の仮説を元に、改めてまばたきと脳の情報処理の関係を調べることにしました。