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「まばたき」の役割とは? / Credit:Canva
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「まばたき」のタイミングで「脳は情報を整理している」 (2/2)

2025.02.02 20:00:03 Sunday

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読書中、脳は「まばたき」の間に情報を整理していた

今回の研究では、Ghent Eye Tracking Corpus(GECO:読書中の視線の動きや瞬きのタイミングを詳細に記録したデータベース)のデータを用いて、読書中のまばたきパターンを分析しました。

実験では、15人の被験者が、アガサ・クリスティ(Agatha Christie)の小説を黙読し、研究チームは、その際の視線とまばたきのデータを記録(視線追跡装置を使用)しています。

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読書中のまばたきのパターンを記録 / Credit:Canva

研究チームは、ボガーツ氏の仮説にならって、句読点(ピリオド、コンマ、疑問符など)、行末(行の最後の位置で、次の行へ視線を移すタイミング)、そして単語の頻度(使用頻度が高い単語と低い単語)に着目し、それらがまばたきに及ぼす影響を調べました。

その結果、合計で約3万回以上のまばたきが記録されました。

そしてまばたきは、句読点の位置で約4.9倍、行末で3.9倍、句読点と行末が一致する場合に6.1倍も増加すると分かりました。

このことは、まばたきが注意の区切りとして働いている可能性を示唆しています。

まばたきによって視覚から入ってくる情報を一旦遮断することで、をリセットしているわけです。

また、頻繁に使われる単語よりも、珍しい単語を読んだ後にまばたきが増えることも分かりました。

珍しい単語を見た時、脳の認知的な負荷(脳が情報を処理するためにどれだけ頑張っているか)が大きくなります。

その時にまばたきをしているということは、短いまばたきの間に、脳が直前の情報を処理し、整理していると考えられます。

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まばたきは、脳が情報を処理するタイミングを示している / Credit:Canva

これらの結果は、まばただきが読書中のランダムなタイミングで行われているのではなく、テキストの認知的な要求に合わせて、戦略的に調整されているという仮説を裏付けるものです。

つまり、まばたきは、脳が情報を効率的に処理するタイミングを示している可能性が高いのです。

今回の研究は、まばたきが単なる生理的動作ではなく、脳の認知的活動と深く関連していることを改めて示すものとなりました。

この知見は、読書や学習、さらには集中力が必要なタスクの改善に役立つ可能性があります。

将来的には、まばたきのパターンをモニタリングすることで、注意力や疲労をリアルタイムで評価する技術の開発にもつながるかもしれません。

例えば、自動運転車のドライバーや航空管制官の注意状態を監視するツールとして応用できるでしょう。

次回、本を読んだり画面を見つめたりしているとき、あなたのまばたきに少しだけ意識を向けてみてください。

その瞬間、あなたの脳は短い「リセット」を行い、情報を整理しているのです。

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